よろこんで!**してみました。

アラフィフ男子が、何気ない日常生活で楽しいと思うことを、つれづれに書く雑記ブログ。美術・落語・スポーツ観戦・グルメ・お酒に旅行等々。たまには、なにか語ることもあるかも・・・

【展覧会】「マイセン 動物園展」@パナソニック汐留美術館(2019/9/3):マイセンの美しくもユニークな動物園

こんばんは。

  

  さて、展覧会の鑑賞報告です。今回はおよそ一週間前の火曜日(9/3)、会社を早上がりして都内をぶらぶらしながら見に行った展覧会です。

 

「マイセン 動物園展」

 

パナソニック汐留美術館で、秋分の日の3連休まで開催中の展覧会です。

ヨーロッパ随一の名窯・マイセンが生み出す動物たち。美しくも不思議なアニマル・ワールドに行ってみましょう。

 

今回も、まとまりのない内容ですが、どのような展覧会か、ご紹介してみたいと思います。しばし、お付き合いを。それでは、さっそく、展覧会へ!

 

※ 以下の記述はマイセン動物園展のパンフレット、作品説明、Web上の解説等を参考に記述しています。また作品の写真はパンフレット・撮影可能な作品を撮りました。

 

[目次] 

 

I.展覧会概要

(1) 展覧会:マイセン動物園展

panasonic.co.jp

 

マイセン

ドイツ・マイセン地方で作られる陶磁器。

17世紀に東インド株式会社による交易が景徳鎮や伊万里といった東洋の磁器をヨーロッパにもたらします。当時のヨーロッパでは純白で薄く硬質な磁器は作ることができず、これらの東洋磁器は「白い金」と呼ばれ、憧れの品として大変もてはやされます。

中でもドイツのアウグスト強王(1670-1733)は東洋磁器の屈指の蒐集者でした。強王は錬金術師のヨハン・フリードリッヒ・ベドガーを監禁し、白磁を作るように命じます。ベドガーは1709年に白磁の製法を解明、そして1710年、ヨーロッパ初の硬質磁器製作所「王立ザクセン製作所」が設立され、「マイセン」が誕生するのです。

また、動物のモチーフは何かを象徴するため、何かの装飾のため、動物そのものの愛らしさを表現するためと様々に扱われてきました。特にアール・ヌーヴォーはマイセンにも強く影響を与え、様々な作品が製作されています。

本展は、マイセンの中でも特に「動物」にテーマを絞ったユニークな展覧会です。

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(2) 会場:パナソニック汐留美術館(汐留・新橋)

panasonic.co.jp 

※私はいつも新橋駅の汐留口から美術館のあるパナソニック東京汐留ビルまで歩く(10分くらい)なのですが、今回は会社から散策のつもりで歩いて行きました。寄り道しながらですが、一時間弱というところでしょうか。たまには歩くのも良いですね(^^)

 

(3) 会期・開館時間・展示替等

2019/7/6(土)~2019/9/23(月・祝)

・終了まで、3連休が2回ありますので、お時間がありましたら、いかがでしょう。

・水曜休館です。

・開館時間は10:00~18:00。入館は30分前まで。

・展示替えはありません。

 

(4) 料金

・大人1,000円、65歳以上900円、大学生700円、中・高校生500円、小学生以下無料

美術館ホームページに100円引きのクーポンのページがあります。(プリントアウトするか、スマホの画面に表示してチケット購入時に受付の方に見せればOKです。今回も利用しました)

panasonic.co.jp 

(5) 訪問時間と混雑状況

9/3(火) 16:20過ぎ、鑑賞時間は約50分。

・人はいますが、混雑はしていません。ゆっくり見られます。


(6) 美術館メモ

・展示の多くは写真撮影OKです。ねこ以外の動物がモデルの作品は多くが撮影NGでした。(展覧会の構成の箇所でも説明します)

・展示会場の出口付近にルオーギャラリーがあり、現在は「ルオーとジャコメ~複製されるイメージ~」という展示です。ジャコメはルオーが複製画を依頼した刷師です。

・ミュージアムショップがあり、図録や絵ハガキなどのグッズもあります。

・入館料・ミュージアムショップともにカード利用可能です。

 

(7) 行くきっかけ(情報源等)

パナソニック汐留美術館で開催されたギュスターヴ・モロー展のときの次回予告を見て、行けたら行きたいなぁと思っていました。今回は近くでほぼ日のイベントもあったので、イベント前に寄ってきました。

 

II. 展覧会所感

(1) 個人的な所感

ヨーロッパの磁器にまつわる展覧会は

2016年に三井記念美術館で開催された「アール・ヌーヴォーの装飾磁器展」

http://www.mitsui-museum.jp/exhibition/past/160706.html

2017年から2018年にかけてサントリー美術館で開催された「フランス宮廷の磁器 セーヴル 創造の300年展」

https://www.suntory.co.jp/sma/exhibition/2017_6/index.html

などを見に行ったり、そのほかの展覧会でも作品が出展されていると気にして見たりと、自分でも結構、好きなんだなぁと思うことがあります。そして今回はマイセン。

磁器のもつ豊かな表現力は彫刻などと同じ立体芸術の一分野をなしていると思います。絵画とも彫刻とも違う色鮮やかて艶やかな美しい世界、磁器。テーマ動物ということもあり、その美しさを楽しく味わうことのできる展覧会です。

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それでは、いよいよ"動物園"の中へ入ってみましょう。

 

(2) 展覧会の構成と気になる作品

会場は4つの章に分かれています。

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会場入り口は、いきなりこんな感じ。タイトルの映像がゆっくり流れてます。

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第1章 神話と寓話の中の動物

ここでは、いろいろな寓意に満ちた作品が展示されています。

 

例えば、女性像「四大陸の寓意」(1820~1920年頃)

それぞれの大陸の雰囲気を醸し出す作品群です。
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<アジア>


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<アフリカ>


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<アメリカ>


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<ヨーロッパ>

こんなイメージですかね。

 

  次は「山羊に乗る仕立屋」(1820~1920年頃)

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ヤギの毛の質感や仕立て屋の服、ヤギのしっぽの方につけられた裁縫道具(針立て)など、細かい表現が駆使された作品なのですが、その意味するところが結構、意地悪。

眼の悪い仕立て屋が目の悪いヤギに乗って目的の晩餐会にたどり着けない様子。貴族が身分の低い人をヤジるという作品。悪趣味ですねぇ(^^;)

眼鏡や服装が最初"ロック"に思えましたが、

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上から見たこの表情はチョッと、とぼけた感じですね・・・

 

お次は「猿の楽団」(1820~1920年頃)

人間風刺のこの作品は今でもマイセンの人気シリーズとのこと。

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この章さいごは本展でも最もゴージャスな一品。「花鳥飾プット像鏡・シャンデリア」(19世紀中頃もしくは後半)

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細かい造形に花、鳥、そして楽器を奏でる人などが集まっています。金銀宝石とは違う匠の技が作り出す「豪華さ」です。

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さて、お次は・・・

 

第2章 器に表された動物

器に施された動物彫刻。マイセンでは、「スノーボール」という小花彫刻を貼り付け磁胎(陶磁器を作る素地土)を装飾した作品が代表シリーズとなり、これに小鳥などが装飾としてもちいられました。

ここでは、スノーボールを中心とした作品です。

 

「スノーボール貼花装飾カナリア付二人用ティーサービス」(1820~1920年頃)

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キレイです。でも、カップの口当たりはいかがなんでしょう?!(^^;)

 

「スノーボール貼花装飾蓋付昆虫鳥付透かし壺」(1820~1920年頃)

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かなり大きな作品です。鳥がいかにも止まっているかのようです。壺の下部の透かしの中には・・・


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さらに小鳥がいます。(見えにくいですが)

かなり凝った作りの作品です。これだけの大きなスノーボール。マイセンの高い技術力、製作能力を見せつけています。

  

第3章 アール・ヌーヴォーの動物

いよいよ動物がメインの作品です。ただし、ここまで1章、2章の作品はほぼ撮影OKだったのですが、ここはねこは撮影OKですが、それ以外は多くの作品が撮影NGですので気を付けてください。(撮影NGのマークがありますので、撮影するときはよく注意してください)

 

それでは、ここではやっぱりねこが好き!ということで。

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ねこ勢ぞろいです。

この他にも犬、シロクマ、キリン、ヒョウ、ライオン、ツバメにフクロウ等、いろいろな動物がいますので、是非、会場で確かめてみてください。

 

第4章 マックス・エッサーの動物

最後は1920~30年代のマイセンで成型師として活躍した彫刻家マックス・エッサーの作品です。こちらも、撮影NG作品がありますので、撮影時はご注意を。

 

「カワウソ」(1927年) 今にも動き出さんばかりにこちらの様子をうかがっています。

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「ライネケのキツネ」(1924~34年頃)

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文豪ゲーテの1793年刊行の叙事詩「ライネケ狐」を元にした作品。

動物界で様々な悪事をはたらく狐のライネケ。ほかの動物たちから訴えられたライネケは死刑になりそうになりますが、王様のライオンを上手く説き伏せ死刑を免れます。そしてライネケはやがて・・・

最後、勧善懲悪ではない身もふたもない話のようで封建社会を風刺した文学作品とのこと。だからか、このキツネの顔はだいぶいけ好かない感じですかね。
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本展はここまで。さいごはルオーの作品を見て会場を出ました。

 

(3) さいごに

日本でも動物をモチーフにした陶芸の作品として宮川香山(みやがわこうざん)が明治の超絶技巧展などで紹介されています。陶磁器は、本当にいろいろな表現の可能性があると感じます。今回の展覧会は豪華で美しい作品から、ちょっとシニカルな作品、大きい作品からかわいらしい作品と、マイセン、はたまた陶磁器によるいろいろな作品を気軽に楽しめると思います。是非、本物をみて、"きれい"、"すごい"、"かわいい"、"かっこいい"等と実感していただければと思います。

 

それでは、最後にリンクです。

 

この日、ぶらぶらしたときの様子はこちら。

www.yorocon46.com

 

マイセンの日本公式サイト

www.meissen-jp.com

陶芸の町・茨城は笠間にある茨城県陶芸美術館ではこんな展覧会も。

www.tougei.museum.ibk.ed.jp

こちら陶磁器の可能性を求めています。フィンランドはルート・ブリュック

www.yorocon46.com

こちらは陶磁器ではなくガラス。ルネ・ラリックです。

www.yorocon46.com

ということで、マイセン動物園展の紹介はいかがでしたでしょうか。

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました!

 

昨晩(9/8)夜からの台風の影響はひどく、今日は朝から電車が動かなかったので、会社に行けず結局年休取得になりました。被害にあわれた方には心よりお見舞い申し上げます。

 

以上です。ではでは。