よろこんで!**してみました。

アラフィフ男子が、何気ない日常生活で楽しいと思うことを、つれづれに書く雑記ブログ。美術・落語・スポーツ観戦・グルメ・お酒に旅行等々。たまには、なにか語ることもあるかも・・・

【展覧会】「モダン・ウーマン展」@上野・国立西洋美術館(2019/8/12):フィンランド女性芸術家たちの共演

こんばんは。

 

9月最初の三連休が終わります。

9月に終わる展覧会も多くあります。

こちらの展覧会は西洋美さんで「松方コレクション」と同時開催、秋分の日の3連休まで。松方コレクションまたは常設展のチケットで鑑賞可能です。

 

日本・フィンランド外交関係樹立100周年記念

「モダン・ウーマン - フィンランド美術を彩った女性芸術家たち

 

日本ではあまり見ることのないフィンランド女性芸術家の作品。私も今回初めてこれだけの作品を鑑賞しました。

フィンランド近代芸術において、これだけの女性芸術家が活躍していたということは驚きでした。個性あふれる作品たちを是非ご堪能ください。

 

今回も、まとまりのない内容ですが、しばしお付き合いを。それでは美術展へ。

 

※ 以下の記述はモダン・ウーマン展の作品説明、Web上の解説等を参考に記述しています。また作品の写真などは撮影可能な展示を撮っています。

 

[目次] 

 

I.展覧会概要

(1)展覧会:日本・フィンランド外交関係樹立100周年記念 モダン・ウーマン - フィンランド美術を彩った女性芸術家たち

www.nmwa.go.jp

f:id:YoroCon:20190916160655j:image

北欧の国・フィンランド

スカンジナビア半島の付け根にある人口約550万人、面積は意外なことに日本より少し小さい国です。首都はヘルシンキ。

西にスウェーデン、東にロシアという地理的な事情から長らくスウェーデン、そしてロシアの支配を受けてきました。19世紀後半から20世紀初頭、ロシアからの独立運動がおこり、1917年ロシア十月革命を受けて独立を宣言します。

(この頃は音楽で言うと「フィンランディア」(1899年)が有名なシベリウスも活躍したころです)

国の独立の動きと歩調を併せ女性の社会的立場・役割にも変革がおき、19世紀半ばに誕生したフィンランド初の美術学校は当時では珍しい男女共学だったとのこと。このような時代背景の中、活躍した女性芸術家の作品が集う展覧会です。

 

(2) 会場:国立西洋美術館(上野)

www.nmwa.go.jp

 JR上野駅 公園口から東京文化会館の右を抜けて直ぐ。2・3分くらいのところです。

本展は新館エリアに展示されています。

 

(3) 会期・開館時間・展示替等

2019/6/18(火)~9/23(月・祝)

・月曜休館です。ただし9月23日の祝日は開館です。

・開館時間は9:30~17:30です。金・土曜日はナイトミュージアムで9:30~21:00です。

 

(4) 料金

大人500円、大学生250円、高校生以下、65歳以上は無料

・常設展示(本展も含まれます)は

   毎月第2、第4土曜日+ナイトミュージアム(17:00以降)は無料。

   加えて、5/18(国際博物館の日)、11/3(文化の日)も無料。

   今回、初めて知りました。これから、もっと気楽に見に行けそうです。(もともと、かなりのコスパですが)

 

(5) 訪問時間と混雑状況

8/12(月・祝) 12:30頃 鑑賞時間は約30分でした。

・松方コレクションの鑑賞時に続けて行きました。

・次の予定があったので、本当にさっと見てしまいましたが、他の常設展とあわせてゆっくり見たい展示です。

・人はいますが、混んではいません。ゆっくり見られます。


(6) 美術館メモ

・本展含め常設展示は写真撮影はOKです。(フェルメール帰属?作品など一部NGあり)

・カタログの通販があります。

https://www.nmwa.go.jp/jp/exhibitions/pdf/2019modernwoman_catalog.pdf


(7) 行くきっかけ(情報源等)

artscapeさんのページで情報は得ていました。

artscape.jp松方コレクションを見に行きましたので、そのまま続けて鑑賞する予定でいました。

 

II. 展覧会所感

(1) 個人的な所感

19世紀後半から20世紀前半にかけて、これだけの女性芸術家がフィンランドで活躍していたことに驚いたとともに、フィンランドの先進性を感じました。作品は明るく印象派を思わせるような作品から人の内面を深く描き出したと感じさせる作品、人物画・風景画・彫刻と様々な分野にわたっています。

フィンランドで有名な作家といえば「ムーミン」の作者トーベ・ヤンソンがいます。1914年生まれの彼女も、このような女性芸術家が活躍できる環境の中、影響を受けつつ創作をしていったのかもしれませんね。

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(パンフレット表面)
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 (パンフレット裏面)

 

それでは、いよいよ会場内へ。

 

(2) 展覧会の構成と気になる作品

会場は西洋美・新館エリアです。

常設展|国立西洋美術館

からも確認できます。

 

本展では7人の芸術家の作品が紹介されており、それぞれの芸術家別に作品展示がなされています。

以下、気になる作品をご紹介。

 

・マリア・ヴィーク(1853-1928)

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ヘルシンキ生まれ。1875年パリに留学し、1880年からサロンにも出品。自然主義の影響を受け、戸外での制作も早くから実践。1890年代までは肖像画家としても人気に。パリ万博では銅メダル受賞。その後、内面重視の象徴主義的画風に移行。


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「芸術家の姉ヒルダ・ヴィークの肖像」(1880年)


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「教会にて」1884年

この頃、ヴィークは後述のシャルフベックと当時の北欧芸術家に人気の高かったブルターニュ地方を訪問。そこで描いた一枚。

二枚の肖像画ともに、かなり好きな作品です。


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「ボートをこぐ女性、スケッチ」(1892年)

パリ留学後、フィンランドに拠点を移しての戸外作成。女性は姉ヒルダか。

明るく、すばやいタッチ。こちらに微笑みかける女性は生き生きした印象です。

ボートにのる女性つながりでは少しモネの絵を思い浮かべました。

 

・ヘレン・シャルフベック(1862-1946)

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フィンランドを代表するもっとも有名な画家のひとり。1873年からフィンランド芸術協会の美術学校で学び、1879年に同協会の展覧会でデビュー。1880年パリ留学。1890年代初頭にかけてはヨーロッパを旅し、レアリズム(写実主義)、自然主義、象徴主義等、フランス同時代美術から学び、パリ万博で銅メダル受賞。

1902年、健康問題からヘルシンキから北に60キロ、ヒュヴィンカーという町に移り住み、芸術も大きく展開。1925年には海辺の町タンミサーリに移住し、その生涯で1000点以上を残す。

 

 

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「少女の頭部」1886年


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「母と子」1886年

やさしく我が子を慈しむ母親の顔と子どもの何気ない顔の向き、手の動きが印象的な作品です。

 

なお、パンフレット表面の絵はシャルフベック1926年の作品「占い師(黄色いドレスの女性)」

こちらは、かなり画風が異なっています。単純化された線や構図の中で何か力強さも感じさせる。近代化・民主化が進んだ中で登場する「新しい女性」像でシャルフベックを魅了したテーマの一つとのことです。

 

・上:シーグリッド・アフ・フォルセルス(1860-1935)/下:ヒルダ・フルディーン(1877-1958)

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フィンランドを代表する彫刻家。二人ともパリでオーギュスト・ロダンに師事。男性が支配的な彫刻の世界で女性が活躍する場を切り拓いた先駆者。


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シーグリッド・アフ・フォルセルス「青春」1880年代

(ケースに光が反射して、よくみえませんね^^;)

 

・シーグリッド・ショーマン(1877-1979)

 

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当時ロシアのウクライナ生まれ。1899年にフィンランド芸術協会の美術学校でシャルフベックらに師事。1901年デビュー。フィンランド国内では批評家としても活躍。

 

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上:「ヘルシンキ市立庭園」1943年

下:「トーロ地区」(制作年不明)

 

・エレン・テスレフ(1869-1954)

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20世紀初頭のフィンランドに色彩の革新をもたらした画家。ヘルシンキ生まれ。

1885年からフィンランド芸術協会の美術学校で学び、1891年デビュー。パリの象徴主義に傾倒し、灰色・褐色等の淡い色調で私的な風景画、内省的人物画を制作。1894年のイタリア旅行後は頻繁にイタリアを訪問。特にフィレンツェに長期滞在し制作。1904-06年にカンディンスキーの作品に出会ってからは画風も大胆な筆致に変化。新たな画風に注目が集まることに。特定の運動・グループに属さない自由な活動と自らの芸術の刷新で高い評価を獲得。

 

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「自画像」1916年


f:id:YoroCon:20190916154607j:image「装飾的風景」1910年

 

暗い色調の人物に緑と黄緑のコントラストで明るく表現された樹木。

表現しようとするものから選び取られる色彩の大きな違い。人物の内面性、自然の力強い生命力、それぞれを巧みに表現していると感じます。

 

・エルガ・セーセマン(1922-2007) 

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ロシア国境近くの都市ヴィープリ(現ロシア・ヴィーボルク)生まれ。ドイツ系中産階級の家庭に生まれ1940年代初頭にフィンランド美術アカデミー(かつてのフィンランド芸術協会の美術学校)と自由芸術学校に学ぶ。1943年デビュー。シュールレアリスム、形而上絵画、ドイツ表現主義、ムンク等の影響を受ける。戦後世代の感情を大胆・率直に描いた作品は近年、注目を集めている。


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 「自画像」1946年

 

  目の描き方、筆致など、どことなくムンクの影響を感じます。

  

  奥には版画素描展示室があり、これまで紹介された芸術家の作品が展示されています。

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エレン・テスマン「フィンランドの春」1942年


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ヘレン・シャルフベック「シルクの靴」1938年

 

  展覧会は以上です。フィンランド女性芸術家の作品、いかがでしたでしょうか?

いろいろな個性が花開いたフィンランドの芸術に惹かれる展覧会でした。

 

(3) 最後に

展示された作品は以下の美術館から来ています。

「フィンランド国立アテネウム美術館」

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白亜の建物が優美ですよね。

まだ、北欧は行ったことがないです。フィンランド、是非とも一度行ってみたい。この美術館も絶対行ってみたいです。

それぞれの国にそれぞれの芸術。老後はまだ行ったことのない国の美術館を廻る。そんな旅をしたいものです。

(【今週のお題】どんな老後を過ごしたい?

  にかけて書いてみましたが、そんなのまだまだ先の話ですねぇ。

  というか老後というよりは、むしろ今から行きたいですね)

 

  本展は85点。ほかにも秀逸な作品がまだまだありますので、是非、ご鑑賞ください。

 

  それでは、最後にリンクです。

 

西洋美で同時開催。松方コレクション展

www.yorocon46.com

こちらも9/23まで。汐留のマイセン。

www.yorocon46.com

後期展示開催中・藝大美術館の円山応挙。9月29日まで。

www.yorocon46.com

同じく9月29日まで。Bunkamura、ミュシャ展です。

www.yorocon46.com

以上、ここまで、お読みいただき、ありがとうございました!

 

今週末からはいよいよラグビーワールドカップ。こちらも熱く応援していきます。

(展覧会とは全然関係ないですが・・・

きっとこれからラグビーネタがちょこちょこ入ります。ご辛抱を^^;)

 

ではでは。