よろこんで!**してみました。

アラフィフ男子が、何気ない日常生活で楽しいと思うことを、つれづれに書く雑記ブログ。美術・落語・スポーツ観戦・グルメ・お酒に旅行等々。たまには、なにか語ることもあるかも・・・

美術展:「ピエール・ボナール」@国立新美術館に行ってきました。

こんばんは。また、台風がひどいですが(9/30 夜)、昼間に国立新美術館のボナール展に行ってきました。ナビ派の巨匠・ボナールの作品をこれだけまとめて見る機会はそうそうないので、貴重な展覧会だと思います。それでは、ご紹介を。

 

[目次] 

 

I.展覧会概要

(1)展覧会名称

オルセー美術館特別企画 ピエール・ボナール」展

 

bonnard2018.exhn.jp

f:id:YoroCon:20181001002755j:plain

 

ピエール・ボナール(1867-1947)は、フランスを代表するナビ派の画家です。(ナビはヘブライ語で「預言者」。モーリス・ドニ等がいます)

商業用ポスター(ロートレックなどの影響)や挿絵も手掛けています。ゴーギャンやモネなどの影響も受けていますが、日本美術(浮世絵)にもかなり影響を受けたらしく「ナビ・トレ・ジャポナール」(日本かぶれのナビ)とも言われています。平面的で装飾的な画風が特徴的です(だと思います)

 

(2) 場所

国立新美術館

国立新美術館 THE NATIONAL ART CENTER, TOKYO

 

乃木坂駅から直結していますので、雨の日も傘なしで行けます。私は普段は六本木駅から行っていますが、5、6分程度で行けます。今日は六本木で昼食をとってから行きました。

 

(3) 会期

2018/9/26(水)~12/17(月) ※ 火曜日休館

 

(4) 開館時間

10:00〜18:00

※ 金曜、土曜は20:00までのナイトミュージアムです。入館は30分前まで。

 

(5) 訪問時間

9/30(日) 12:40頃 鑑賞時間は約70分でした。展示は132点です。


(6) 料金

大人1,600円、大学生1,200円、高校生800円、中学生以下無料

※ 私は、国立新美術館で10/24から開催予定の東山魁夷展との前売セット券を買っていたので1,100円(セットで2,200円)でした。前売りにはお得なチケットもあるということでご紹介です。(他の展覧会でも同様のチケットはあります)


(7) 混雑状況

開始したばかりですが、人は多かったです。でも、展示スペースにゆとりがあるので、十分、ゆっくり見られます。(会期末ほど、混みますので、行く予定の方は早めに行くことをお勧めします)


(8) 写真撮影

展示会場内はNGです。入口の大きな看板絵のみ可能なようです。


(9) ミュージアムショップ

今回も、絵ハガキ購入です。一枚150円(税込み)です。

クレジットカードは利用していませんがOKだと思います。

図録は買いませんでしたが2,500円。迷ったんですが、あまり買い過ぎると家でいろいろと言われてしまうので・・・

 

(10) 美術館メモ

10/1まで「荒木飛呂彦原画展 JOJO 冒険の波紋」を2階で開催していますが、こちらは1階から2階まで列がつながる大変な混雑ぶりです。館員の人の声を聴いていると、時間指定で入場させているようでした。すごいですね。


(11) 行くきっかけ

「日経大人のOFF 2018年1月号」ですでに紹介されていて、見に行くことは決めていました。その後、展覧会情報が以前、e-tix(イーティックス)オンラインチケットからメールで送信されてきて、その中で一番お得そうな東山魁夷展とのセット券を購入しました。

 

II. 展覧会所感

(1) 個人的な所感

ピエール・ボナールナビ派の巨匠。という程度のことは知っていましたが、これまで、そんなに見てきた画家ではありません。フランスのオルセー美術館に行ったときに数点見たことがあるという感じです。今回、ボナールを見るというほかに、オルセーのコレクションを見るという意図もあり、見に行こうと思いました。

展覧会はボナールの初期から晩年に至るまでの作品が、画家の歴史・取り扱ったテーマでまとめて展示されており、私にとっては初めてちゃんとボナールの絵を鑑賞したという感じでした。オルセーでも、ここまでまとめてボナールの展示はなかったと思います。(代表的な作品が数点並んでいる程度だと思います。展示替えはしているでしょうが)

なので、オルセーよりボナールをしっかり鑑賞することができる展覧会だと思います。

また、ボナールは、、結構、興味深い人生を送っていることも、この展覧会を通じてわかりました。(これは後程)

f:id:YoroCon:20181001002841j:plain

 

(2) 展覧会の構成と気になる作品

f:id:YoroCon:20181001003445j:plain

1. 日本かぶれのナビ

平面的な色彩の絵画がならび、私のイメージするボナールの絵はこのエリアの絵が一番近い気がします。例えば今回、絵ハガキを購入した「庭の女性たち」(1890-91)は、平面的かつ装飾的な色合いが強い作品だと思います。

f:id:YoroCon:20181001005027j:plain

先にも書いた通り、日本の影響も受けており、各画面の構成も浮世絵の女性を思わせますが、一番右の女性のドレスの格子模様も影響を受けているようです。また、このエリアでは屏風絵も展示されています。(「乳母たちの散歩、辻馬車の列」(1897))

このほかに、目をひいた作品は、

「親密さ」(1891):煙草をくゆらし半身の女性と、パイプをくゆらす男性。二人のなんとも言えない微妙な雰囲気が、趣のある作品です。

「男と女」(1900):ボナールには珍しい、男性の裸体像が描かれています。縦長の画面の左にベッドの上の女性の裸体像、右に男性の裸体像、二人の真ん中には親しいようで、通じ合い切れていない二人の微妙な関係を表す衝立が描かれています。左の女性は後に妻となるマルト、右の男性はボナールとのこと。

26歳でマルトと知り合ったボナール。この時、33歳ですが、まだ、マルトの本当の名前も歳も知らなかったとか。(結構、シュールな感じです。ちなみにマルトはパンフの女性です)

 

2. ナビ派時代のグラフィック・アート

ボナールは、ポスターや挿絵などでも活躍しています。パンフからの紹介です。

f:id:YoroCon:20181001011631j:plain

ボナールが最初に絵でお金を得たのは1889年の広告コンクールの受賞が最初で、これで、父親にも画家になることを認められたようです。(展覧会説明から)

 

3. スナップショット

ここでは、ボナールが撮影したスナップショットが展示されています。1899年にコダックが創業し、写真が身近なものになると、ボナールもスナップショットを多数撮影しています。マルトが水浴するシーンをモデルに絵も描いています。ルノワールやヴュイヤールの写真もあります。ボナールは1905年以降は、写真の数が減り、1916年には写真を撮らなくなったようです。理由は定かではないとのこと。

 

4. 近代の水の精(ナイアス)たち

ボナールが描いた水浴する女性を中心に裸婦の絵が集まっています。先のマルトの水浴するシーンをモデルにした絵もあります。

f:id:YoroCon:20181001013736j:plain

これがその絵です。出口直前の映像コーナーで壁に絵の映像を映し出しています。絵のほか、景色などのイメージ映像を映しています。写真撮影可能でしたので、たまたま取りました。「浴盤にしゃがむ裸婦」(1918)俯瞰する構成がドガに通じるとか(展覧会説明)。このほかの水浴する裸婦像も、ドガに通じるところがあると思いました。

 

5. 室内と静物「芸術作品 - 時間の静止」

ボナールは日常的に家族と共有の空間である室内を結構、描いています。

「ふいに部屋に入ったとき一度に目に見えるもの」を描こうとした、感覚で把握できるものを描こうとしたようです。ボナールの描き方は素早く描かれたスケッチと記憶を行き来しながら描いているようで、数年(長いものは10年とか)にわたって作品を描き続け、完成させるという手法だったようです。よって、必ずしも目の前にある事物を描いているだけではなかったようです。

f:id:YoroCon:20181001015100j:plain

(「ル・カネの食堂」(1932) 遠近とか、陰影という概念から離れ、対象の印象・色彩を感覚的にとらえ、それを画面上に再構成している、という感じがします)

 

6. ノルマンディーやその他の風景

1909年にボナールはジヴェルニーのモネの家を訪問しています。ここで、印象派の可能性を再認識し、ノルマンディーに居を構え、制作に打ち込みます。

このテーマの絵には大作(「ボート遊び」(1907))が目をひきます。そのほかの作品でも明るい緑がふんだんに使われた作品があり、印象に残りました。

 

7. 終わりなき夏

ボナールは「画家=装飾家」とみなる意識をもっており、依頼を受けて作成した装飾画が、このエリアでは多く展示されています。「歓び」(1906-10)は、装飾的で、少し暗い色調ですが、ナビ派らしい絵だと思いました。また、この頃の風景画では、「アンティーブ(ヴァリアント)」(1930)が印象に残ります。フェルトを組み合わせて作成したような濃厚な色とあいまいな境界線。青い海、青白い空、黄緑の丘、空と海を隔てる赤い街。それぞれの色が溶け合うように画面を構成している。写実ではないですが、情景が浮かぶ絵だと思いました。

f:id:YoroCon:20181001020959j:plain

(3) 最後に

先にも書いた通り、ボナールの人生も、なかなかなもので、

・26歳(1893)でマルトと出会う。でも、この時はマルトの本名も、歳も知らない。

・58歳(1925)。ボナールの気持ちがルネという女性に傾いたとき、嫉妬したマルトに結婚を迫られ、結婚。この時、初めてマルトの本名と歳を知る。結婚して数週間後、ルネは自ら命を絶つ。

というところが、さすが芸術家、という感じですね。(絶対、真似できない。するつもりもないですが)

  

f:id:YoroCon:20181001021553j:plain

(私、こんなに足、長かった?)

 

・・・これは、ボナールの絵です。(美術館では伸びた猫の写真を募集中とか)

f:id:YoroCon:20181001021831j:plain

(これくらい?)

 

・・・もう少しかなぁ。ではでは。