こんばんは。昨日、本当は、この投稿をしよう!と思っていたのに、ついつい、オジさんサラリーマンの悪い癖で飲みに行っちゃった(それで、あの投稿?!)ので、本日、アップです。今日は急に涼しくなりましたが、展覧会を見た日曜(9/9)は、まだ暑かった。テニスの全米オープンで日本人初優勝!の大坂選手も熱かった。(優勝インタビューも良かった!)
ということで、今回行った展覧会は・・・
[目次]
I.展覧会概要
(1)展覧会名称
「芳年-激動の時代を生きた鬼才浮世絵師」展
(2) 場所
練馬区立美術館
※ 西武池袋線で練馬の一つ先の中村橋駅の北側直ぐそばです。1階は図書館になっています。中村橋駅は小さな駅ですが、以前、アド街ック天国(私は大好きです)でも紹介されていて、結構、美味しいお店やラーメン店などがあります。(参考までに、アド街のリンクも)
出没!アド街ック天国|~練馬 中村橋~|2015年11月7日(土)放送 | テレビ東京 旅グルメ
周りは児童公園で外観は
(ドーン!)
(ドンドーン!!)
って感じです。美術館の周りに動物のオブジェ。ある意味、オルセーだぁ・・・
で、美術館外観は、こう。
私は、いつも実家に車で帰るついでに寄ります。(というか、ここに来たついでに実家に帰ります)
高架下の駐車場が1時間300円。近くのEmioという西武のショッピングエリア(ザ・ガーデンがある)で1,000円買い物したら、駐車場代最初の1時間分300円は無料なので、買い物があるときは一緒に済ませてます。(主婦みたいでしょ)
(3) 会期
2018/8/5(日)~9/24(月・祝) ※ 月曜日休館。9/17(月・祝)は開館で9/18(火)休館です。
~8/26・8/28~で30点程、入れ替えがあったようです。
まだ、あと2週間。3連休も2回あります。芸術の秋の美術鑑賞の開始は練馬・中村橋に。
(4) 開館時間
10:00〜18:00 ※ 入館は17:30まで
(5) 訪問時間
9/9(日) 16:30頃 鑑賞時間は閉館直前までで80分くらいです。でも、作品数が多く、最後はちょっと気持ち駆け足で見たので、もう少し時間の余裕を持って見れば良かったです。
(6) 料金
大人1,000円、大高生及び65-74歳800円、中学生以下及び75歳以上無料
※ 今回は、そのままの大人料金で。
(7) 混雑状況
鑑賞者は普通にいますが、混んではいません。なお、美術館の人に展覧会のパンフが欲しいと伝えたら、全部無くなったとのこと。これは人気のある証拠、これから会期末に向けて、混むかもしれません。やはり、早めに行った方が良いですね。
(8) 写真撮影
館内の垂れ幕などはOKですが、展示会場内はNG。で、館内はこんな感じ。とてもカッコいいです。
(9) ミュージアムショップ
ミュージアムショップというわけではないですが、チケット売り場のあたりに少し商品が並んでます。カタログ2,500円(かなり分厚く、展覧会の作品数の充実ぶりが伝わります)、Tシャツ2,700円(3種類くらい)、チケットフォルダーやクリアファイル(400円)くらいの品ぞろえはあります。もちろん絵ハガキもあります。
今回も、絵ハガキ3枚購入で、一枚108円(税込み)です。
クレジットカード利用は使わなかったですが、たぶんNG。(ごめんなさい。今回は確認していませんが、たぶん使えないと思います)
(10) 美術館メモ
前に書いているかもしれませんが、東京の公共の美術館で、僭越ながら、ひときわ頑張っているなぁ、と私が思うのが、世田谷区立美術館、府中市立美術館、そしてこの練馬区立美術館です。東京都23区初の民間登用の管理職公務員で、元サントリー宣伝部の若林覚館長が就任された頃から、とても意欲的な展覧会が多く開催されていて、東京の公立美術館の雄という感じで見ていました。(私の学生の時は、正直、見に来ようと思うものはなかったと記憶しています)
これまでも、小林清親展、シスレー展、19世紀パリ時間旅行展、藤島武二展等、年に1・2回は足を運んでいますし、行ってない展覧会でも、行きたかった展覧会は多数あります。わざわざ行かないと、行くような場所ではないですが、ぜひ一度は訪問してみてください。
なお、入り口脇にはちょっとした喫茶スペースもあり、くつろげます。
(11) 行くきっかけ
情報を得たのはチラシミュージアムですね。練馬区立美術館ということで、見に行くことにしました。
II. 展覧会所感
(1) 個人的な所感
月岡芳年は、1839年の江戸生まれ。92年没と正に江戸末期から明治の初めを生きた浮世絵師です。昨年あたり展覧会が多く取り上げられていた歌川国芳の弟子で、ドラマチックで劇画的な構図等は師匠譲りに思えます。
武者絵・物語絵にこだわりがあり、晩年まで、その可能性を追求していたと説明されていました。個人的には、構図は大胆ですが、表現は細部に至り、繊細な印象で、「赤」の使い方が印象的であると、今回の一連の作品を見て感じました。
芳年というと、どうしても幕末の日本国内が戦乱に巻き込まれる中で、大胆な流血シーンなどを描いたことから「血みどろ絵」「無残絵」という印象が強いのですが、本展覧会は、残酷シーンのある絵も多く取り上げてますが、「血みどろ」という印象に囚われず、画家の画業を振り返ろうとしています。
(チケット)
(展示会場入り口の絵)
(2) 展覧会の構成と気になる作品
・第一章 国芳譲りのスペクタクル、江戸のケレン
(嘉永6年 ~ 慶応元年(1853 ~ 65))
ここではデビュー作から、若かりし頃の作品を取り上げています。師匠を継ぐ「美勇水滸伝」シリーズなどの絵があり、躍動感のある構図は国芳譲りだと思いました。
・第二章 葛藤するリアリズム
(慶応2年 ~ 明治5年(1866 ~ 72))
このエリアの最初はいわゆる「血みどろ絵」「無残絵」と呼ばれた頃の作品で、ある意味、芳年の代名詞的な作品群が並びます。人を刀で斬る、首を取る、切腹シーン等々、流血シーンのオンパレード。8月に原宿の太田記念美術館で取り上げられていた兄弟子の落合芳幾(おちあい よしいく)との合作のシリーズ「英名二十八衆句」等が展示されています。
あまり好きではない人は案内に「血のシーンがあります」というお知らせがあります。ただ、このお知らせには併せて
・長き太平の世であった江戸の市中で戦争が起きていた当時
・上野の山は死体で埋め尽くされたと言われる
・その中で絵師は何を求め描き、また、民衆も何を求めたのか
・それが分かる作品群であり、目を背けるものではない
という趣旨のコメントもあります。このスタンス、私は好きです。
なお、「血みどろ絵」は基本的にこの頃のみ書かれていたらしく、この頃、絵が売れず困窮を極めた芳年は神経症になっていきます。
・第三章 転生・降臨-"大蘇"蘇りの時代-
明治8年頃、芳年は病から復調します。"大蘇"はその頃の雅号として使われていたようです。この頃は郵便報知新聞の人気絵師として生活も落ち着いてきたとのこと。こうなると、やはり描かれる絵も違ってきます。
「新容六怪撰 平相国清盛入道浄海」では、平清盛をとりまく女性の白い襟に「から摺り」で色を付けず文様だけを紙にうつすという繊細な手法が取られており、こういうところからも絵師の充実ぶりが伺えるような気がします。柳橋、新橋、根津などの芸者衆の絵など、これまでとは違った画題の絵も目立つようになってきます。
このエリアでは、次の絵ハガキを購入です。
躍動感がある主役の二人とそれを見守る画面中央の月。まさに次の「静」と「動」に続きます。
・第四章 "静"と"動"のドラマ
芳年最後の10年。この頃は月100円という当時では破格のお金で絵入自由新聞社から発注を受け、ヒット作を連発していたとのこと。明治24年に神経症を再発し、翌年に没しますが、追い求めた物語絵、武者絵に美人画も加わり、芳年絶頂期の絵画が堪能できます。
ここは、私が購入した絵ハガキで様子をお伝えします。
荒れ狂う波に弁慶が対峙しているところが、まさに「静」と「動」。静かなる弁慶の姿が、ことさら波の荒々しさを強調し、緊迫感がある絵になっていると思います。
「風俗三十二相 うるささう 寛政年間 処女之風俗」(明治21年(1888))
血みどろとは打って変わって、女性も猫の表情も、画題そのものも柔和になっていることが伺えます。
(3) 最後に
かなり昔(いつかは?ですが10年以上前)に北九州市立美術館で展覧会があり、その時、初めて知った画家です。当時、私は明治の浮世絵師の絵を見ていなかったので、斬新な画風、劇画的な構成、繊細な細部の表現に過激なまでの流血シーンと結構なインパクトを受けました。そのころは、やはり「血みどろ芳年」という印象が強かったのですが、今回の展覧会を通じで、芳年に対する新しい見方を発見した、そんな美術展だったと思います。
(偏っちゃダメよ)
・・・そう思います。ではでは。