今日、家に帰ると相変わらず、私の部屋の椅子は我が家の主人、お猫様に占拠されていました。会社から帰り、部屋の電気をつけると怪訝そうな顔で私を見て「休んでいたのに」というような感じ、私に一瞥を与えます。
せっかく、休んでいたのにごめんなさい・・・
ということで、先週の土曜日(5/19)に世田谷美術館の「人間・高山辰雄展」を見に行きました。
[展覧会概要]
・場所:世田谷美術館
・会期:2018/4/14(土)~6/17(日) ※ あと3週間くらい
・訪問時間:5/19(土) 12:10頃
※ 混雑はなく、ゆっくり見られました。
・アクセス:世田谷美術館駐車場(東名高速高架下。美術館鑑賞の場合、無料。駐車場で渡された紙に美術館に押印してもらい、半券を見せることで無料になります)
URL:https://www.setagayaartmuseum.or.jp/exhibition/special/detail.php?id=sp00188
本展覧会を見に行くきっかけは
・前のパリジェンヌ展を鑑賞し、アンケートに回答することで無料券をいただいた。
・世田谷美術館友の会の友人に展覧会の感想を聞いて、興味を抱いた。
というところです。
本展覧会は、正直、見に行く予定にはありませんでした。たまたま、当日、車で実家に帰る予定があり、その前に時間があったので、かなり遠回りでしたが、見に行きました。(世田谷美術館友の会の知人の感想を聞いていなかったら、行ってないかも)
ここまで書いて、行く気のなさが出ていたかと思いますが、行ってみての感想は「見に行って良かった」というのが正直なところで、今年一番の行って良かった美術展の一つとなりました。
高山辰雄画伯、名前は知っているけど、絵は過去にも数点見たことがある、という程度で、まとまった個展に行くのは初めてでした。行く前に、あまり期待していなかったからかもしれませんが、画伯の作品をまとめて見る機会があって本当に良かったと思います。もともとの印象としては、少し奇妙な顔の人物画を書く人、あと大分県出身の画家という程度の認識でしたが、本展覧会では画伯の画業を若いころから追って鑑賞することができ、画家が「人間を書きたい」というのが伝わってくる内容であったと思います。また、若いころから晩年までの絵画を展示することで、表現の変遷なども感じることができ、好き嫌いはあるかと思いますが、是非とも鑑賞してもらいたい展覧会の一つです。(なかなか言葉で表現するのは難しいですね)
高山辰雄はゴーギャンに影響を受けたとのことで、初期の絵にはゴーギャンの影響を感じさせるものがあります。また、目の瞳を書かないところはモディリアーニにも通じる絵もあり、画面構成や表現がドニやクリムト、さらにはルオーとも共通するような絵があります。でも、誰かに似ているということではなく、高山辰雄独自の世界が美術館の中に見事に展開されています。展示されている絵には人物だけではなく花の絵もありますが、「花を書く時でも人間を表現したい」(というような趣旨でとらえました)という画家の言葉が紹介されているとおりの作品になっていると思います。花の表現はとても緻密ですが、花弁の一つ一つ、湿度を感じるような表現の中に、生命・人間らしさのようなものを、強く感じられると思います。これは同時に展示されている風景画等にも同様のことが言えると思います。
画家のまなざしが見る者の世界観も広げ、深めてくれる、そんな気持ちで鑑賞しました。
私は個人的には「いだく」という絵が好きでした。
まだ会期末までありますので、お時間のある方は、ぜひ、鑑賞してみてはいかがでしょうか。以下、パンフレットなどの画像をアップしておきます。
(鑑賞したときの感覚を言葉で表現するのは難しいですね。ぜひ、本物をみていただければと切に思います)
※ 初期(学生頃)の作品:砂丘(1936)
※ 表現が進んだ作品「椅子に」(1990)