よろこんで!**してみました。

アラフィフ男子が、何気ない日常生活で楽しいと思うことを、つれづれに書く雑記ブログ。美術・落語・スポーツ観戦・グルメ・お酒に旅行等々。たまには、なにか語ることもあるかも・・・

美術展:「国立トレチャコフ美術館所蔵 ロマンティック・ロシア展」@ザ・ミュージアム(渋谷東急Bunkamura)に行ってきました。(2018/11/24)

   こんばんは。今日の東京はなかなか寒かったですね。冬が近い。

  さて、今日はこちらの美術展に行ってきましたので、ご報告。

私、音楽も絵画もロシア、好きです。(音楽だとストラビンスキーにショスタコーヴィッチあたりです。絵画はレーピンくらいしか知らないのですが^^;)

 

[目次] 

 

I.展覧会概要

(1)展覧会名称

「国立トレチャコフ美術館所蔵 ロマンティックロシア」展

www.bunkamura.co.jp

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※ ロシアの国立トレチャコフ美術館所蔵品約20万点の中から、19世紀後半から20世紀初頭のロシアを代表する画家の作品72点が展示されています。

創始者のパーヴェル・トレチャコフ(1832-1098)はモスクワの商家に生まれ、紡績業で財をなした実業家です。40年に渡り、同時代のロシア芸術家の作品を中心にコレクションを形成するとともに、クラムスコイ、レーピンといった画家の支援も行ってきました。自宅の庭のギャラリーで公開していた作品は1892年にモスクワ市に寄贈。ロシア革命を経て国に移管されました。美術館はその後もコレクションを拡充し、世界に誇るロシア美術の殿堂となっています。

 

※ 今回もパンフレット、出品目録、図録などを基に記述していきます。

 

(2) 場所

東急Bunkamura ザ・ミュージアム

www.bunkamura.co.jp

 

※ JR渋谷駅のハチ公口からで10分ちょっと歩きますかね。とにかく渋谷駅は混んでるし109周辺も混んでいますので歩くのも一苦労です。でも、Bunkamura近辺までくると少し落ち着いた感じがします。

 

(3) 会期

2018/11/23(金)~2019/1/27(日)

※ 昨日から開始です。11/27(火)、12/18(火)、2019/1/1(火)のみお休みです。それ以外は開館なので、年末年始にも見に行けます。

 

(4) 開館時間

10:00〜18:00

※ 入館は17:30までです。金曜・土曜は21:00まで開館のナイトミュージアムありです。

 

(5) 訪問時間

11/24(土) 18:25頃 鑑賞時間は約80分でした。


(6) 料金

大人1,500円、大高生1,000円、小・中学生700円

※ 私は、前売を買っていたので1,300円でした。


(7) 混雑状況

またまた、夜のナイトミュージアムで行きましたが、人はそれなりにいました。ただし、比較的見るスペースも広く、混んではいません。


(8) 写真撮影

NGです。


(9) ミュージアムショップ

今回、図録購入です。2,300円です。絵ハガキも一枚購入。120円です。絵ハガキはちょっと種類が少ないように思います。残念。

クリアファイル400円、ダブルクリアファイル550円も欲しかったけど、図録を買ったので我慢。クレジットカード利用はOK。

  

(10) 美術館メモ

Bunkamuraは今年30周年記念だそうです。

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こちらの美術館さんも、結構、訪問していますが、今年はこの展覧会は初めてでした。(もっと来ている印象がありましたが)


(11) 行くきっかけ

 チラシミュージアムで開催を知りました。2012年に同じくトレチャコフ美術館所蔵レーピン展を訪問したこともあり、最初に書いた通り、ロシア絵画は好きなので、見に行くことを決定しました。

 

II. 展覧会所感

(1) 個人的な所感

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とにかくロシアの数多くの画家の作品が紹介されています。展示は風景画、人物画、子どもの絵、都市の絵といったテーマでまとめられています。私にとってのロシア絵画は風景画、人物画とも基本は写実。その中で、風景画は叙情的な印象があり、人物画は人物の心理洞察に優れ、内面が滲み出るような絵画が多いという印象です。ここでは、とにかく私が好きだった絵を紹介していきます。

 

(2) 展覧会の構成と気になる作品

第1章 ロマンティックな風景

春夏秋冬を追って、季節ごとの風景画が展示されています。

 

・1-1 春

再生の季節でもある春を表現した絵画が並びます。

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ワシーリー・ヴァレシャーギン「アラタウ山にて」(1869-1870)

戦争の通信員としてトルキスタンに派遣され、中央アジアに魅了されて描いた作品。画家は日露戦争で戦死したとのこと。

 

・1-2 夏

ロシアの短い夏。鮮やかな色彩を放つ夏を表現した絵画たちです。

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イワン・アイヴァゾフスキー「嵐の海」(1868)

私はこの絵を見てターナーの難破船の絵を思い出しました。荒れた海とそびえたつ山のコントラストが印象的です。

 

・1-3 秋

色彩豊かな夏に別れを告げ、秋色に染まる世界が描かれます。

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グリゴーリー・ミャソエードフ「秋の朝」(1893)

非常に精緻で写実的。まさに秋の黄金に色付く林の中にいるようです。

 

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イワン・ゴリシュキン=ソロコプドフ「落葉」(1900年代)

秋が擬人化されて描かれていて、デザイン的でもあり、女性のさびしそうな表情もグッとくる作品だと思います。

 

・1-4 冬

長い冬。ロシア人の困難に立ち向かう、我慢強い、勤勉の気質はこの季節から生み出されます。意外と冬の風景画は少ないとのことですが、白い雪に包まれた世界に魅了された絵が並びます。

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ミハイル・ゲルマーシェフ「雪が降った」(1897)

ロシアの厳しい冬の生活感が伝わるような作品だと思います。


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ヴィクトル・ワスネツォフ「雪娘」(1899)

 「雪娘」は老夫婦が孤独を紛らわすために作った雪の女の子が生命を得るが、春の訪れとともに溶けてしまうという昔話が題材のようです。生命を得たばかりの雪娘が周りの世界に少し戸惑っている様子が伝わる、幻想的でありながら、心理描写にも優れた作品だと思います。

 

第2章 ロシアの人々

・2-1 ロシアの魂

ロシアの肖像画が発展した19世紀後半から20世紀初頭は、トルストイ、ツルゲーネフ、チェーホフ等によるロシア文学の発展した時期と重なります。文学による人物・心理描写と同じように、絵を通じて人物の内面に迫ります。

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 イリヤ・レーピン「ピアニスト・指揮者・作曲家アントン・ルビンシュテインの肖像」(1881)

巨匠レーピンの肖像画です。モデルは力強い演奏が「ライオンのようだ」と評され、曲への理解の深さ、比類ない独創性が際立つ音楽家。その個性がいかんなく表現されているように感じられます。

 

・2-2 女性たち

ロシアの肖像画美術の中で重要な位置を占める女性の肖像画。今回の目玉、クラムスコイの「忘れえぬ女(ひと)」を始めとした印象に残る作品が続きます。

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イワン・クラムスコイ「忘れえぬ女(ひと)」(1883)

この記事の中でも、ここまでで3回くらい見たかと思いますが(^^;)、今回の展覧会の目玉で、私がこの展覧会に来る決定打の一つとなった作品です。日本では8回目の展示なので、日本人はこの女性が大好きなようです。女性解放の時代、固定した社会通念に立ち向かう、静かでありながら、深いところに意志を感じさせる、そんな目の表情に魅了されちゃうんでしょうね。(いろいろな感じ方があると思いますが、この目は魅力的です)


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ニコライ・カサートキン「柵によりかかる少女」(1893)

この作品は今回の展覧会で私が一番好きな作品でした。待てども来ない恋人を虚しく待つ女性。そんな物憂げな感じが全体から伝わる、絶妙な表現の作品だと思います。

 

第3章 子供の世界

大人同様に世界の一員としての子供に真剣に向き合い描いた作品群です。子供たちのかわいい姿とともに、子供たちを通じてロシアの民衆や農村の生活が描かれていきます。

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セルゲイ・ヴィノグラーノフ「家で」(1913)

家の中で背中を向けて何かをしている少女の姿がとても愛らしい絵だと思います。

 

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オリガ・デラ=ヴォス=カルドフスカヤ「少女と矢車菊」(1908)

少女の服の白と矢車菊の青のコントラストがきれいで、それを日差しが優しく包み込む。画家は母親で、娘がモデルとのこと。メアリー・カサットの絵を少し思い出しました。

 

第4章 都市と生活

・4-1 都市の風景

モスクワ、サンクトペテルブルクのようなロシアの大都市のみならず、小さな町を含め、画家の眼を通じたロシアの都市が描かれています。

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セルゲイ・スヴェトスラーフスキー「モスクワ美術学校の窓から」(1878)

学校の窓から見える雪が覆う街の姿と、窓の直ぐそばの学校の屋根。近景・遠景の対比が、自分も窓から景色を見ているように思わせる作品です。

 

・4-2 日常と祝祭

ロシアの都市に生きる人々のさまざまは人間模様が表現されています。

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 ウラジーミル・マコフスキー「大通りにて」(1886-1887)

女性は村から出てきて悲しげな表情を浮かべる。男はほろ酔いで、気もそぞろにアコーディオンをいじっている。この二人、これから家庭崩壊に向かっていく、そんな場面だそうです。女性と男性の心理状況、おかれた立場が伝わってくるような作品です。(ちょっと、奥さんがかわいそうですが)

 

(3) 最後に

ロシアには移動派(正式には移動展覧会協会)という流れがあり、今回、作品が展示されている画家たちの多くも移動派の展覧会に出品しています。これはアカデミズムという制約を嫌うクラムスコイ(「忘れえぬ女(ひと)」)らにより1870年に設立され、民衆の生活を中心に当時の社会生活を写実的な手法で克明に描き出し、社会矛盾を告発するとともに、祖国愛をもとに郷土の自然、風景画も描いた会派とのことです。

このようなロシア独自の流れの中で、生活の舞台であるロシアの風景が描かれ、そこに生きる人々が描かれています。私は特に描かれた人の内面にまで迫るロシア絵画が好きです。普段はあまり見かけない画家たちかもしれませんが、印象派等の流れとは、また違った独自の絵画の潮流を体感できる、そんな展覧会だと思います。ロシア絵画、かなり良いですよ。

 

  ということで、美術館を後にしたのですが、もうすぐクリスマスシーズン。東急の前もすっかりクリスマスです。一年、早いですよねぇ。

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で、帰りの井の頭線に乗るときに、やっぱり見てきました。駅の通路の岡本太郎。

展覧会とは関係ないですが、せっかく渋谷に行ったので、掲載。

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  すっかり寒くなりました。風邪には気を付けたいものです。

  ということで、以上です。お読みいただき、ありがとうございました。

ではでは。

 

[追伸・2018/12/5]

2018/11/24つながりのブログ記事をリンクします。この展覧会に来るまで、こんなところに行っていました。

yorocon.hatenablog.com 

yorocon.hatenablog.com