よろこんで!**してみました。

アラフィフ男子が、何気ない日常生活で楽しいと思うことを、つれづれに書く雑記ブログ。美術・落語・スポーツ観戦・グルメ・お酒に旅行等々。たまには、なにか語ることもあるかも・・・

美術展:「小倉遊亀」展@平塚市美術館に行ってきました。

こんばんは。湘南第三弾完結編です。もう、あれから一週間。私の中の湘南の風も、すっかり収まってしまいましたが、最後、少しお付き合いください。

会社を休んだあの日。胸躍らせて、車を足らせて向かった先は・・・

この日、最初に訪問したのは、こちらの美術展でした。小原古邨展@茅ヶ崎市美術館に行く"ついでに"行ったのですが、私には新しい「出会い」の美術展でした。

 

[目次] 

 

I.展覧会概要

(1)展覧会名称

小倉遊亀」展

www.city.hiratsuka.kanagawa.jp

小倉遊亀は「おぐらゆき」と読みます。

 1885年(明治28)~2000年(平成12)。105歳まで活躍した女性画家です。滋賀県大津市出身。奈良女子高等師範(現・奈良女子大)を卒業後、1920年(大正9)神奈川県の大磯に住む安田靫彦(ゆきひこ)に師事し、本格的に日本画家として始動します。

その後、1938年(昭和13)に山岡鉄舟の門下の禅人・小倉鉄樹と結婚し、北鎌倉に住みます。1944年(昭和19)には鉄樹が逝去したので、結婚生活は6年でしたが、北鎌倉で精力的に制作に取り組みます。(なので、平塚で回顧展です)

画業は1932年(昭和7) 女性として初めての日本美術院同人に推挙、1976(昭和51) 日本芸術院会員、1980年(昭和55) 文化勲章受章 、1990年(平成2) 90歳で日本美術院理事長、1996年(平成8) 101歳で日本美術院理事長退任後、名誉理事長、1999年(平成11) 104歳でパリ・三越エトワールで海外初個展と、まぁ、高齢になっても、目覚ましい活躍で、その生涯を終わります。現代の高齢化社会からみたら、本当、スーパーおばあちゃん(巨匠に失礼な言い方ですが、親しみを込めて)ですよね。尊敬しますし、うらやましいです。

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 (小倉画伯です。画集のポートレートより)

ということで、展覧会の詳細はのちほど。

 

※ いつもどおり本記事は、パンフや図録等を参考に記述しています。

 

(2) 場所

平塚市美術館

www.city.hiratsuka.kanagawa.jp

 

 すごく立派な美術館です。外観はこんな感じ。天気よかったぁ。

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そして、中では巨大ユニコーンのお出迎え。f:id:YoroCon:20181026003448j:image 

※ こちらも今回、初めて訪問しました。平塚の図書館・博物館などの文化施設が集まるところで、近くにららぽーともあります。美術館の駐車場も広く、最初の1時間は無料で、その後は30分100円です。

 

(3) 会期

2018/10/6(土)~11/18(日) ※ 月曜日休館。

週末は、まだ今週含めてあと4回!(2018/10/25(木)時点)

 

(4) 開館時間

9:30〜17:00(入館は16:30まで)

※ 金曜日ナイトミュージアムなし。

 

(5) 訪問時間

10/18(木) 10:10頃から鑑賞。鑑賞時間は60分程度です。


(6) 料金

大人900円、大高生500円、中学生以下無料 ※ カード利用不可


(7) 混雑状況

平日の午前中にも関わらず、それなりに人はいましたが、混んではいません。広さもあるので、ゆっくり鑑賞できます。


(8) 写真撮影

NGです。


(9) ミュージアムショップ

受付カンターのようになっていて、そこに絵ハガキ、図録などを販売しています。

展覧会の図録は1,800円です。絵ハガキもあり、1枚税込108円で3枚購入です。

こちらも、クレジットカードNGです。図録の表紙です。

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(10) 美術館メモ

小倉遊亀展の開催期間中は同時に秋の所蔵品展(Lines-線をめぐる表現。こちらは11/25(日)まで)も開催されていて、同じチケットで鑑賞できるので一緒に見てきました。両方の展覧会を見て90分くらいの鑑賞時間でした。


(11) 行くきっかけ

茅ヶ崎美術館の「小原古邨展」を見に行くとき、チラシミュージアムで平塚美術館で子の展覧会を見に行こうと決めました。小倉遊亀は、美の巨人たちで取り上げられたり、竹橋の国立近代美術館や東京藝術大学美術館のコレクション展で数点絵を見ただけでした。東京藝術大学美術館の「径」(こみち)という作品が良かったのを思い出して、たまたま近くだったので、寄ってみたというところです。

 

II. 展覧会所感

(1) 個人的な所感

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パンフの表は先ほど書いた「径(こみち)」(1966年(昭和41))

ほのぼのしていますが、タゴールの詩「虚偽より真実を、闇より光を、死より永遠の命を与えたまえ」を引き合いに出した遊亀の世界観と生活への思いが融合したものとのこと。中国・龍門石屈訪問時に構想が浮かんだということです。

 

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  小倉遊亀はそんなに詳しくは知らなかったですし、作品もそれほど見ていたわけではありません。まとめて作品を見るのは、今回が初めてです。色づかい、画面からにじみ出る雰囲気など、とても明るいのですが、顔などデフォルメされていて、ちょっとゆがんだ感じのクセのある造形で、正直、そんなに好きというわけではありませんでした。

今回、まとめて絵を見て感じたのは・・・

・色づかいが明るいだけではなく、繊細かつ女性の帯の模様など、細かいところが、かなり丹念に描きこまれている。

・顔やポーズ、静物画の造形はかなり大胆に描かれ、その大胆さが人物の動きや表情に活力を与えている。

・年齢を重ねるごとに、絵から描き手の純粋さが伝わってくる。(80歳以降の作品とか、とにかく純粋に絵が好きな人なんだなぁと思いました)

それでは、展覧会の方に。

  

(2) 展覧会の構成と気になる作品

・1 黎明 画家としての出発

入口を入りますと初期の頃の作品が並びます。絵を見ると師匠・安田靫彦の影響なのか、先生同様に線描と淡い色の組み合わせで作品が構成されています。安田靫彦は主に歴史画が多く、絵に緊張感があるのですが、小倉遊亀は子どもや女性がモデルのことが多く、生活の一場面がテーマになっているので、明るく、親近感のある作品が多いと思います。ここで好きな作品は・・・

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「浴女 その一」(1938年(昭和13)) 初期の代表作です。女性の肌、水の揺らぎなど繊細ですよね。

 

・2 飛躍 遊亀の芸術の開花

結婚、夫・鉄樹の死、敗戦そして母の死。遊亀の生活では大変なこと続きでしたが、1951年 マティス展を見たことにより、洋画の影響を受けて画風も一変。マティスの影響から色が強くなり、俵屋宗達の影響から造形もさらにデフォルメされるようになります。また、養子を迎え、その結婚を経て、家族や子供をテーマとして取り上げるようになります。ここで好きな作品は・・・

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「娘」(1951年(昭和26)) 着物の染色、花瓶の模様やレースのテーブルクロスなど、描きこまれています。

 

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「美しき朝」(1952年(昭和27)) 顔はデフォルメされていますが、女性の生き生き感が好きです。

 

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 「コーちゃんの休日(1960年(昭和35)) 今度は女性のくつろいだ感じがなんとも言えません。

 

・3 挿絵と愛蔵陶器

  ここでは、遊亀の挿絵(谷崎潤一郎 少将滋幹の母等)と遊亀が好きな古九谷の陶器(仏性を感じるとのこと)が展示されます。

 

・4 成熟 

     最後は昭和40年代・遊亀70代以降の作品が並びます。どれも、70代以降に人が描いた絵とは思えないみずみずしさです。また、70代を過ぎてから、なお、新しい表現に取り組んでいる。本当にすごい人です。

こちらの展示エリアからは・・・

 

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 「観自在」(1968年(昭和43)) つい最近、師匠の安田靫彦仏画も見ました。線描に淡い色づかいなのですが、師匠の絵の方は緊張感と静寂な感じがしますが、こちらはなんとなく楽しそう、親しみやすそうで、遊亀独自の世界観が広がっていると思います。

 

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「舞妓」(1969年(昭和44)) 74歳のときの作品。それでいて少女の表情の無垢な感じ、画面全体の透明感、みずみずしさ。やられました。

 

(3) 最後に

こちらの展覧会では、遊亀の言葉が多めに紹介されています。遊亀の語りを聞きながら作品をみているような感じでした。

さて、少し脱線しますが、先週の日曜日におばあちゃんプログラマーExcelアートの若宮正子さんが出られているパネルディスカッションを見て、とにかく物凄いパワーと、今取り組まれていることが、純粋にお好きなのだなぁということを感じました。最初は会場も、ちょっと笑いが起こる程度でしたが、その後、会の終了時にはこの方の一挙手一投足に拍手が起こるという感じでした。

私は小倉遊亀さんが実際に話をしている映像などはあまり見ていませんが、とにかく明るく、そしてパワーがあって、なにより純粋に画業に取り組まれた方なのだろうと、勝手に想像しています。人生は平坦な道のりだったとは思いませんが、最後は女流画家の先頭を走り続け、絵に情熱を傾けたこの方の生き方が、本当に羨ましいと思いました。

 

ということで、この日、行ったあの場所は・・・

yorocon.hatenablog.com

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ということで、またいつか、あの海に・・・

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(今度はどこ行くの)

 

・・・内緒です。

 

ではでは。