こんにちは。
こちらもGW中に行った展覧会・美術館からのご報告です。
特別展「国宝 東寺 空海と仏像曼荼羅」
京都の東寺と言えば、世界遺産、五重塔などなどで有名なお寺。別名は教王護国寺。嵯峨天皇が中国で最先端の仏教「密教」を修得して帰ってきた空海に託したお寺です。その東寺の名宝が上野のトーハクに集結しました。
今回も、まとまりのない内容ですが、ご紹介してみたいと思います。しばし、お付き合いを。それでは、さっそく、展覧会に!
※ 以下の記述は展覧会のパンフレット、作品説明、そのほかWeb上の解説等を参考に記述しています。また作品の写真は撮影許可された仏像およびパンフレットを撮りました。
[目次]
I.展覧会概要
(1)展覧会:特別展「国宝 東寺 空海と仏像曼荼羅」
空海(弘法大師)は言わずと知れた真言宗の開祖。日本を代表するスーパー僧侶で、あまたの伝説を残しています。774年(宝亀5)、今の香川県・讃岐国の郡司(当時の群を治める地方官)の息子として生まれます。793年(延暦12)に仏道に入ります。その後、803年(延暦22)、中国に渡ります。中国では唐・長安にある青龍寺で真言七祖の恵果(えか/けいか)から密教を学びます。
密教は大乗仏教(みんなの救済を目指す仏教。一方、個人の解脱を目指すのは「小乗」)の教法の一つ。真理の現れである大日如来に帰依し、師匠から弟子に厳格なルールをもって教えや作法が伝承されます。一方の顕教(けんきょう。「顕=あらわ」)はお釈迦様が分かりやすい言葉で説いた教えです。
東寺は平安遷都に伴って建てられた、国城鎮護の官寺(国のお寺)。平安京の正門・羅城門の東西にお寺が建てられましたが東側のお寺です。当時は西寺もありました。823年に嵯峨天皇から空海が賜り、真言密教の根本道場とします。日本初の密教寺院の誕生です。東寺を中心に発展した真言密教を「東密(とうみつ)」、最澄が開祖の天台宗の密教を「台密(たいみつ)」と呼びます。
本展は空海により真言密教の中心として発展した東寺に伝わる数々の仏像・密教美術品を展示する展覧会です。
(2) 会場:東京国立博物館(上野)
この日は天気が良かったです。
※トーハクの入り口を入り、左手奥にある「平成館」の2F。エスカレータを上がって左手が第1会場(曼荼羅、仏具、書が中心の展示)、右手が第2会場(仏像中心の展示)です。
(3) 会期・開館時間・展示替等
2019/3/26(火)~2019/6/2(日) ※ あと2週間と少しです。
・休みは月曜です。
・開館時間は9:30~17:00。入館は30分前まで。
・金曜・土曜はナイトミュージアム!21:00まで開館です。
(4) 料金
・一般1,600円、大学生1,200円、高校生900円(中学生以下無料)
・前売は1,400円でした。(私は前売購入)
・当チケットで常設展示も観覧できます。
(5) 訪問時間と混雑状況
・5/5(日) 祝日の11:00前に訪問。入場まで10分ほど並んで待ちました。早い時間に行かれることをおススメします。(これから、会期末に向けて、さらに混むことが予想されます)
・鑑賞時間は75分くらいでした。
・混雑はしていました。特にこれから紹介する第一会場は書画が多いので混雑しいていました。第二会場は比較的大きな仏像が中心で"間"の取られた展示なので、人は多いですが、混雑という感じはさほどしません。
(6) 美術館メモ
・「帝釈天騎象像」のみ写真撮影可能です。
・ミュージアムショップはあります。カタログ、絵ハガキ、大判ハガキなどが販売されています。(今回は購入はしませんでした)
・トーハクに入るとこんなワゴンもあって、ランチも食べられます。
(7) 行くきっかけ(情報源等)
今回は、日経「おとなのOFF」1月号を見て、行くことを決めていました。チラシミュージアムで確認の上、ネットからチケットを購入しています。(e-plusさんのスマチケ利用。スマホでチケットを表示して入場できるので便利です)
II. 展覧会所感
(1) 個人的な所感
密教では仏具や曼荼羅(まんだら)などの品々が数多く伝わっています。これは、作法等が重視されていることと、「密教の教えは奥深くて文章では説明しきれない。であるから、図解をつかって理解しない人に伝える必要がある」(本展解説)ということにも由来しているようです。
密教=見つけることのできない秘密をみつけるもの
平安の都で国の安寧を願い建立された寺院に伝わる最先端の教えを具現化した世界。平安の人々の願いを想像しつつ、鑑賞してきました。
(パンフレット表面)
(パンフレット裏面)
それでは、会場の中へ。
(2) 展覧会の構成と気になる作品
第1章 空海と後七日御修法(第1会場)
空海が伝えた密教は「経典に従って修法を行い効験を得る」ものです。加持祈祷(かじきとう)により、仏に願いをかけ、現世利益を祈る。当時は仏教によって国の安定をはかる鎮護国家の時代。仏教にかける天皇の願いは「国家安寧」。そして、当時、もっとも恐れられた災いは「怨霊」。この怨霊を力強く退散させ、国家安寧を実現するための最先端の仏教が「密教」であったと言えます。(奈良時代末期、道教の宇佐八幡信託事件のように既存の仏教が権力と癒着したため、新しい仏教が求められていたことも「密教」の求められた背景にあるでしょう)
ここでは空海にまつわる品々に加え、密教の「後七日御修法」(ごしちにちみしほ)を行う祭壇が再現されています。「後七日御修法」は毎年1月8日から14日までの7日間行われ、国家安泰や天皇の健康を祈られたのこと。
なお、空海から最澄への手紙・風信帖(ふうしんじょう)も展示されています(5/19までですが・・・)
パンフレット裏面の上部真ん中の書がそれです。
第2章 真言密教の至宝(第1会場)
こちらでは仏具・仏画・曼荼羅等が展示されています。
曼荼羅はこの世界を絵柄で示したもの。主なものとして大日経を示した「胎蔵界曼荼羅」、金剛頂経を示した「金剛界曼荼羅」があります。この二つをあわせて「両界曼荼羅」と言います。パンフレット裏面の上部左が金剛曼荼羅、右が胎蔵界曼荼羅です。
ちなみに、日本の神道やヒンドゥー教でも曼荼羅はあるようで密教独自のものというわけではないようです。
第3章 東寺の信仰と歴史(第1会場)
お面、仏像等の美術品とあわせて東寺に伝わる天皇からの書状等が展示されています。
続けて第2会場に移ります。
第4章 曼荼羅の世界(第2会場)
いよいよ本展のメイン、トーハクの再現シリーズ(?!)今回の目玉ともいえる「立体曼荼羅」の世界に入ります。
パンフレットの表面の仏像たちが並びます。当時では21体の仏像で構成されていますが、そのうち15体がトーハクに集結しています。
さらに、帝釈天騎象像は撮影もできます。
こちらです。
こちらは仏像界の「イケメン」と言われています。均整のとれたお顔立ち、品のあるたたずまい。オーラを感じます。
立体曼荼羅の四天王のうち持国天、増長天が展示されていますが、大きさといい、にらみの表情といい、かなり迫力があります。これらの仏像が一堂に集まり、「国家安泰」の願いをかなえるべく「怨霊」を退散させる。さぞかし、祈りをささげる人々にとって頼もしく、かなり「説得力」があったと思います。密教を修めた空海だからこそできた「神業」なのでしょう。
(3) さいごに
空海に託された東寺は真言密教の中心として、その後も発展し、現在に至ります。一方の西寺。いまでは跡地としての碑が立つのみ。影も形もありません。これまでの歴史の中で東西のお寺がたどった運命。少し気になります。
今回の展覧会は展示期間などが細かく区切られているので、展示終了の品々もありますが、この立体曼荼羅を見ない手はありません。仏像の周りを回れるので、360度、普段見られないアングルからも鑑賞することができます。残り期間が短いですが、いかがでしょうか?
それでは、最後にリンクです。
toji.or.jp展覧会のターゲット・東寺のサイトです。
展覧会を訪れた日のことはこちら。
ということで、以上です。今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました!
ではでは。