こんばんは。
先日、書道の新年会で新橋に行った帰り、日本橋界隈を散策したことは、少し書きましたが、今日は、さらに、スポットを絞って書きたいと思います。しばし、お付き合いください。
日本橋。江戸の交通の起点。老舗あまた。一方、近年は超高層ビルの建設ラッシュが続いており、昔と今が交錯しながら変わり続ける街。そんな日本橋は、街そのものが展覧会です。今回は、この日本橋から、2019/1/20に訪れた次の2か所をご紹介。
[目次]
1. 三井記念美術館
つい最近(2019/1/6)に行った三菱一号館美術館も美術館自体が建築のアート作品ですが、こちらの美術館も美術館そのものがアート作品です。
(1) 美術館
三井記念美術館のある三井本館は1998年に重要文化財に指定された名建築です。設計はアメリカのトローブリッジ&リヴィングストン事務所、施工をジェームス・スチュワート社に委託されています。三井本館については
で紹介されています。ご参考まで。
古代ギリシャやローマ建築のような柱が並ぶ重厚で堂々とした建物です。
あの、ドラマ「半沢直樹」東京編の舞台。この中で半沢直樹は働いていますかねぇ。
さて、美術館へはビル1階の入り口を入っていきます。
昔ながらのレトロな感じのエレベータで7階まで昇ると美術館です。矢印でエレベータのいる階を示しています。
中の展示室は三菱一号館美術館同様に当時の内装を活かした展示室があり、当時の建物の雰囲気を感じながら、作品を鑑賞できます。
また、ミュージアムショップもレストランもあります。
(2) 国宝「雪松図屏風」
今回、こちらの美術館に行った最大の目的は、
円山応挙の国宝「雪松図屏風」。
6点の国宝、75点の重要文化財を有する三井記念美術館ですが、中でも円山応挙の国宝「雪松図屏風」は同館で毎年12月~1月で開催される展覧会に展示されます。
現在開催中の展覧会のパンフから抜き出した絵はこちら。きっと、何かで見られたことはあるかと思います。
(左隻)
(右隻)
この絵で使われている色は背景の金、松の黒、雪の白。たった3色。
3色なのですが、背景の金泥は濃淡で光の強弱を表し、霞、靄といった絵の中の空気や湿度までをも表現しているかのようです。そして松の木の根元の金砂子。陽の光が雪に反射してきらきらと光っているのでしょうか。風に舞う雪に光が反射しているのでしょうか。金だけとっても、金一色以上の色を表現しています。
次に松を描く墨の黒。幹の太さ、雪が積もっている感じを濃淡で描き分けます。松の細い葉は無数の墨の線で丹念に描いています。黒なのですが、松の葉の深い緑も、松の幹の深い茶色も感じられるようです。ちなみに、この松の絵には輪郭線がありません。当時の日本画で輪郭線を描かないのは、かなり斬新な表現。写実を極めた応挙の迫真の表現と言えると思います。
そして、驚くべきは雪の白。描いてません。下地の白を残して表現している。結局、応挙は金と黒を使って、雪が積もる松のすべての色を表現し、すべての光と空気を描き切っているのです。
毎年、「雪松図屏風」と何かテーマを併せて展覧会を開催しているのですが、今年は「国宝 雪松図と動物アート」
長澤芦雪の「白象黒牛図屏風」も面白い絵でした。大きな白い像の背中に黒い2羽の駆烏、大きな黒い牛のお腹には白い子犬。(パンフの雪松図屏風の下の作品です)
また、漆工芸の「象彦」の作品も立体と絵画の融合のようで、目を引きました。
今回の展示は2019/1/31(木)まで。ちなみに次回の雪松図屏風の公開は
2019年12月14日(土) ~ 2020年1月30日(木)
「国宝 雪松図と明治天皇への献茶」
改元の年、天皇・皇室に関係する作品を選んでの展覧会とのことです。(年の初めから、いきなり来年の話で恐縮です^^;)
このほかにも日本美術を中心とした展覧会が開催されます。次回は、こちらもこの美術館恒例の
「三井家のおひなさま」特別展示 人間国宝・平田郷陽の市松人形
2019年2月9日(土) ~4月7日(日)
(平田郷陽の作品が展示されるなら、行こうかなぁ・・・)
なお、三菱一号館美術館と同じく、東京駅周辺美術館MAPの提示でチケット100円引き。
美術館のサイトでも100円引きクーポンなどがありますので、確認してください。
http://www.mitsui-museum.jp/guide/index.html
(3) アクセス
一番近いのは東京メトロ「三越前」駅です。A7出口から徒歩1分。同じく東京メトロ・都営地下鉄「日本橋」駅からも歩けます。JRだと「神田」「東京」「新日本橋」駅から歩けます。今回は「神田」駅から歩いて行きました。(5・6分くらい)
※ 地図は最後に掲載します。
2. 三越本店
(1) 本店
三越。言うまでもなく日本を代表する百貨店です。こちら日本橋が本店です。日本橋・三越本店では歴史再発見ツアーなるものをやっているようなので、そちらをリンクしてみました。
1914年(大正3)に建物が完成。関東大震災で被災後も大正期の鉄骨をいかしつつ、昭和2年に鉄骨鉄筋コンクリート造七階建として完成。さらに1935年(昭和10)に増改築が終わり、今の姿になっています。2016年(平成28)7月に国の重要文化財に指定されました。建物は横河工務所(現:横河建築設計事務所)による一貫した設計によるものとのことです。
(2) 「天女(まごころ)像」
今回、雪松図屏風を見た後に、見に行ったのが三越の中央ホールにある
「天女(まごころ)像」
です。
中央大ホールは1階から5階までの吹き抜け。天井のガラスからの光が、百貨店とは思えないステンドグラスの下にでもいるような荘厳な雰囲気を醸し出します。
そして、その中央ホールにいらっしゃるのが、今回のお目当ての一つ「天女(まごころ)像」です。
私はこの御像のことは8年前のテレ東「美の巨人たち」で知りました。(東京出身ですが、若い時、三越とか、行かなかったなぁ)
そのときの放送内容へのリンクはこちら。
作者は佐藤 玄々(さとう げんげん)。本名・清造。1888年(明治21)福島県相馬郡(現・相馬市)に生まれます。(~1963年(昭和38))
父は宮彫師で、父や伯父に彫刻を学びます。1907年(明治40)に上京し、高村光雲の高弟・山崎朝雲に師事し、「朝山」と号します。(その後、1939年(昭和14)師匠ともめて名前は変更。本名に戻します。その後、「玄々」を名乗ります)平櫛田中等とともに活躍。1922年には日本美術院25周年記念事業として小林古径や前田青邨らとともに渡仏。そこでブールデルの作品に感銘を受け、弟子入りします。帰国後、作品を発表し続ける玄々に1951年(昭和26)三越50周年記念事業の一つとして、三越から中央ホールに飾る彫像制作の依頼が舞い込みます。これを受けて制作されたのが、この「天女(まごころ)像」です。当初制作期間は「2年400万円」と言われましたが、制作過程を通じて玄々の天女への思いはどんどんと強まり、結果、制作期間10年、当時のお金で数億円とも数十億円とも言われる費用をかけて、1960年(昭和35)に建物の4階にまで到達するこの大作が誕生します。
天女の背後は、こちらです。幾重にも織りなす瑞雲。瑞雲を巡り飛ぶ鳥たち。鮮やかな色彩が荘厳で幻想的な世界を作り出します。
こちらは、3階に上がって撮った像です。羽衣が舞い、瑞雲は燃え上がるようなくらいの迫力。スケールの大きさが違いすぎます。
私は、たまに、この像を見たくて日本橋・三越に来ます。大きさに圧倒されるのですが、なんか、見ていると落ち着いてくる感じもするのです。どこかの寺院にでも入ったのではないか、と思うような荘厳さです。
店員さんにも確認しましたが、写真撮影OK(でも、買い物されている方の邪魔にならないように)なので、もし、三越に来られた際は、是非、一度、見てみてください。
(3) アクセス
先程の三井記念美術館のある三井本館の隣です。なので、先ほどと同じです。日本橋・三越は新館・本館がありますが本館は三井本館よりの建物(入り口は有名なライオンの像)ですので、お間違いないよう。
※ 地図はこの後。
3. 最後に
日本橋界隈はこの他にも国指定・重要文化財が多数
・日本橋高島屋(百貨店)
・日本銀行
・日本橋
等々。街を歩いているだけで、いろいろな「作品」に出会えます。まさに、街そのものが展覧会といえるのではないでしょうか。
日本橋です。上の高速道路はたびたび話題にもなっています。前回の東京オリンピック前年(1963年)からこの風景に。橋は1999年(平成11)に重要文化財に指定です。
今でも日本の道路の起点です。
日本橋。まだまだ、いろいろと行きたいところはありますが、今回のご紹介はこの辺で。周辺地図はこちら。
最後に、日本橋散策でチョッと休憩するなら、こちら。
ミカドコーヒーさん。1階はスタンドですが、コーヒー1杯230円で飲めます。暑い日などはモカアイスもお薦め。2階はテーブル席もあります。
といういことで、今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。
この辺はラーメンも結構、激戦区。飲み屋さんもあまた。次は、そういうところも行ってみよう。ちなみにこちらも日本橋です。
今日はまだまだ日曜日。どこか行ってこようかな。
ではでは。