よろこんで!**してみました。

アラフィフ男子が、何気ない日常生活で楽しいと思うことを、つれづれに書く雑記ブログ。美術・落語・スポーツ観戦・グルメ・お酒に旅行等々。たまには、なにか語ることもあるかも・・・

美術展:「横山華山」展@東京ステーションギャラリーに行ってきました。

こんばんは。今日(正確には日付変わって昨日)の10/12(金)は、ナイトミュージアムで東京駅の東京ステーションギャラリーに行ってきました。今年はいわさきちひろ展以来、二度目です。会社帰りに直行したのですが、会社を出るのが遅くなって、見る時間が短かくて、相変わらずの駆け足鑑賞になりました^^;)

それでも、何とかして今日行きたかった理由がありまして。その理由とは・・・

 

[目次] 

 

I.展覧会概要

(1)展覧会名称

「横山華山」展

www.ejrcf.or.jp

 ※ 横山華山(かざん)は、1781/4~1837、江戸時代後期に京都で活躍した人気絵師。夏目漱石の坊ちゃんにも名前が登場するので、当時の人気はかなりのものだったと思われます。円山応挙伊藤若冲の次世代の画家というところでしょうか。曽我蕭白に傾倒し、岸駒(がんく。虎の絵が有名)に入門し、呉春(ごしゅん)に私淑し、絵の幅を広げた絵師とのこと。フェノロサ等の海外コレクターに早くから注目され、海外にも作品が渡っています。多彩な絵を描き、弟子もかかえながら、流派に属さない画風から、だんだんと名前が忘れられていったとのことですが、今回の展覧会は華山の作品を一堂に集め、再度、見直す貴重な内容になっていると思います。(本記述含め、以降、もろもろの説明はパンフ、図録、テレビでみた情報などから記述しています)

 

(2) 場所

東京ステーションギャラリー 

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言わずと知れた東京駅の中。丸の内北口の改札に入口があります。

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(3) 会期

2018/9/22(土)~11/11(日)

 

※ 月曜日休館。ただし、これから(10/12以降)だと11/5(月)は開館です。

※ 展示替えがあり、前期は10/14(日)まで(← ここ重要です)、後期は10/16(火)からです。

 

(4) 開館時間

10:00〜18:00

※ 金曜日はナイトミュージアムありで、20:00まで。今回もナイトミュージアムで見てきました。

 

(5) 訪問時間

10/12(金) 19:10頃 鑑賞時間は45分程度です。やっぱり、短かったですね。地下鉄東西線の大手町から歩いたのですが、ちょっと、出る改札を間違えてしまい、不覚にも遠回りして、かなり時間をロスしました。痛かった・・・方向音痴だしなぁ・・・それが無ければ、最後、もう少しゆっくり見られたなぁ・・・


(6) 料金

大人1,100円、大高生900円、中学生以下無料 ※ カード利用不可(SuicaはOK)

※ 前にも書いた通り「東京駅美術館MAP」があれば、100円引きでしたが、持っていななかったので、正規料金で入りました。時間に余裕が無くて、探している場合じゃなかったので。何事も、余裕を持つって、大切ですね^^;)

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(7) 混雑状況

人はいますが、十分、ゆっくり見られます。


(8) 写真撮影

NGです。 


(9) ミュージアムショップ

今回も閉館ぎりぎりで時間はあまりなかったのですが、今回は図録を買っちゃいました。図録は、2,700円でした。他の展覧会よりも、気持ちお高めなのですが、内容は、かなり充実しています。色もきれいで見やすくて内容も豊富です。そのほか、絵ハガキは1枚108円でした。(今回は購入せず)

こちらは、クレジットカード利用可能です。

 

(10) 美術館メモ

美術館の中の構造は、こんな感じ。

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詳細は、前回、行った時の記事は参考までに。(後述)


(11) 行くきっかけ

これは、文句なくテレビ東京美の巨人たち」の10/6(土)の回で「紅花屏風」を取り上げていたのを見たからです。そして、冒頭に書きました、どうしても今日見たかった理由は、紅花屏風は10/14(日)までの前期展示だからです。土日にゆっくり見ても良いですが、日曜日に用事があって、見られなくなるかもしれなかったので、急遽、見に行きました。

紅花屏風を見た感想は後述しますが、もし、お時間があって、興味があれば、この土日で、是非、見に行ってみてください。ちなみに、この屏風は山形美術館所蔵なので、もし、見逃しても山形美術館で見られるかも。(常時展示かは?ですが)

 

II. 展覧会所感

(1) 個人的な所感

横山華山という絵師を、もちろん詳しくは知らなかったですし、絵を見たこともなかったと思います。

今回、鑑賞しての印象は

・色の使い方が斬新!(陰影、グラデーション等の活用。日本画、浮世絵にある平面的な色づかいとは違った、当時としては新しい色づかいだったと思います)

・人の表情が明るくて、生き生き(一人一人の顔が明るく、表情豊かで、あまり気難しい顔の人は出てこない。こういう顔を書けるのは、この人自身が明るく、軽やかな人だったのではないかと思っています)

・ひとつひとつは緻密な描写(人の表情もですし、今回の展覧会の目玉の祇園の山鉾など。丹念に描かれています。それでも、動きなどの軽やかさは失われていません)

というようなところで、大きくまとめると「明るく、軽やか」な絵が多いと思います。パンフの「見ればわかる」の通り、私は、すっかり好きになってしまいました。

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(パンフ裏面上部が紅花屏風)

 

(2) 展覧会の構成と気になる作品

蕭白を学ぶ

華山は福井藩医の子どもとして生まれるも、幼くして孤児となり、横山家に養子に来たとのことです。横山家は曽我蕭白ともつながりがあったようで、ここから蕭白の絵を学ぶようになります。本展でも曽我蕭白が描いた「蝦蟇仙人図」とそれを華山が模写した「蝦蟇仙人図」が並んで展示されています。これを見ると華山は必ずしも蕭白の絵を写し取るだけではなく、自分なりの表現に置き換えて描いていることが分かります。蕭白の仙人図の方が、力強いが、動きにちょっと不自然さが残りますが、華山の方は不自然さが取り除かれた自然な動きになっていると思います。

最初に蕭白の蝦蟇仙人図です。(ボストン美術館蔵)

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お次は華山の蝦蟇仙人図です。

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この他、四季山水図等、蕭白の絵を倣った作品等が展示されています。

 

・人物 - ユーモラスな表現

このエリアは、華山の描く子どもや七福神をモデルとした人物画が並びます。先にも書いた通り、華山の人物の表情は明るく、快活で、柔らかく、とても好きです。子どもの動きは生き生きしていますし、七福神も、親しみの持てる表情です。

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「唐子図屏風」(1826年(文政9))の一部から。

 

・花鳥 - 多彩なアニマルランド

華山は動物画も表現は緻密ですが、動きは軽やかです。また、三猿図(日光で有名な「見ざる聞かざる言わざる」)のように、滑稽な感じの表現にも長けています。

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(「三猿図」大英博物館蔵)

 

それと桃錦雉・蕣花猫図のように朝顔の花(=蕣(しゅん))の青や、カラフルな雉の羽等、本当に色が鮮明で美しいです。(図録の表紙にもなっています)

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 (余談ですが、今回の展覧会の図録の色はとても綺麗に出来上がっていると思います。結構、図録で見ると色味の印象が異なることもあるのですが、今回は、そういうのが無いです。個人的な感想ですが)

 

・山水 - 華山と旅する名所

華山の描く山水も、重厚というよりは軽やかな感じがします。富士山の絵等も残されています。すっきりした線、色づかいの絵が多いと思います。

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 「富士山図」

 

・風俗 - 人々の共感

ここに、今回の私のお目当ての「紅花屏風」が展示されています。注意書きにも「美の巨人たち」での放送予定、その後の展示期間(10/14まで)と書かれていました。この絵が一番、人が集まっていたように思います。

屏風には、総勢220人が描かれているとのこと。描くのに6年が費やされています。

美の巨人たち」や図録の情報を踏まえて、説明しますと

・京都の紅花問屋から、屏風の展示により、京都の女性への紅花の宣伝効果を期待して制作の依頼を受けた。

・依頼を受けてから、華山は紅花の産地である東国、東北に通った。

・220人の一人一人の顔が生き生きしているのは、華山が実際に紅花畑で働く人と交流を持っていたからであろう。

・紅花から色素を取り出すために紅花をまとめて乾かすために作られる「紅餅」の大きさからみて、右隻の紅餅は大きいので武州(埼玉)がモデルで、左隻は紅餅が小さいので奥州(東北・南仙地方金ケ瀬地区?)の方がモデルだと言われています。(東北の方が日差しが弱いため、乾かすために紅餅を小さくしているとのこと)

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(「紅花屏風」右隻(1823年(文政6))から。赤い紅餅が大きいです。山形美術館蔵)

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 (「紅花屏風」左隻(1823年(文政6))から。紅餅は出てませんが小さいです)

 

※ 山形にあるのは、山形も紅花の産地だからだと思います。

 

本屏風は京都で大変な人気となり、華山の人気絵師としての地位も確立した、というところです。

このほかに、華山の弟子が描いた風俗画も展示されています。

 

・描かれた祇園祭

展覧会としては、これが今回の目玉でしょう。上下二巻、計30mに及んで祇園祭について描かれた「祇園祭礼図巻」が展示されています。こちらは、京都の祇園祭の山鉾図鑑というような感じですが、さらに山車を引く、神輿を担ぐ人なども多数登場してきます。これだけのものを描き切る、華山の画力の集大成的なものではないでしょうか。是非、ご鑑賞ください。

以下、「祇園祭礼図巻」(1835年(天保6)~1837年(天保8))の一部です。

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(3) 最後に

紅花屏風もそうですし、祇園祭例図巻もそうですし、そのほかの絵もそうです。何がかというと、この人の描く人々は、本当に何かしゃべっていて、絵の中に会話が存在しているように思えます。他の絵師の絵や絵巻等だって、動きなど躍動感はありますし、表情も誰一人同じ表情の人物はいません。でも、華山の絵に出てくる人は、本当に表情や動きが自然で、本当にこういう人たちがいたんだなぁ、と思えます。これは、華山の絵の色づかいが優しく、陰影、グラデーションが駆使されていて、より自然な表現になっているということがあると思います。それに加えて、いや、それ以上に、華山は本当に人と付き合っていた、人の中に交じり合っていた人だったからこそ、こういう絵が描けるのだと思っています。この時代に華山に会ってみたかった、そんな気になりました。

かつて忘れられていた絵師として伊藤若冲が引き合いに出されています。確かに若冲も、少なくとも私が学生の頃などは知る人ぞ知るといった存在だったと思います。ところが、今では、展覧会に入るのも難儀なくらいの人気絵師です。華山は若冲とは、またタイプが違う絵師だと思いますが、それでも、この展覧会をきっかけに、今後、目にする機会が増えれば良いなぁ、と思っています。

 

 ということで、紅花屏風がある、なしは関係なしで、よろしければ、ぜひ行ってみてください。

 

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(人気が出過ぎると、混むよぉ)

 

・・・そこまでは出なくてもねぇ。定期的に展覧会が開かれる程度で。

 

では、最後に、前回訪問時の記録を・・・

yorocon.hatenablog.com

ではでは。