こんばんは。今週末は初秋のような気候で、天気も良く、とても気持ち良かったですね。でも、残念ながら私は季節の変わり目か、腰が痛くなって、ずっと寝ていました。寝すぎて、今は寝られない感じ。明日、会社は大丈夫だろうか。おじさんになるのも大変です^^;
さて、今回は週末、まだ腰が痛くなる前にナイトミュージアムに行ってきたので、紹介です。
[目次]
I.展覧会概要
(1)展覧会名称
「江戸名所図屏風と都市の華やぎ」展
(2) 場所
(入り口付近の様子です)
※ 地下鉄有楽町の駅の上で、日比谷駅などからも近いです。JRも有楽町駅からも東京国際フォーラム側の出口を出てビックカメラを横に見ながら、皇居に向かい5分ちょい歩くと着きます。帝国劇場の並びですし、地下にレストラン街もありますので、見る前、見た後の食事にも使えます。(この辺は店がいっぱいですから、食べるのに困ることはないですが)
ちなみに私は東京駅の京葉線の三菱一号館美術館近くの出口から出て、歩きました。東京駅から歩いても10分少しで歩けます。
(3) 会期
2018/7/28(土)~9/9(日) ※ 月曜日休館
(4) 開館時間
10:00〜17:00
※ 金曜日は19:00までのナイトミュージアムありです。入場は閉館30分前までです。
(5) 訪問時間
2018/8/17(金) 18:00頃 鑑賞時間は60分程でした。
今回は18:00から、学芸員さんが直接展示品の説明をしながら、廻ってくれるという「列品解説」を目当てに行きました。
ちなみに、列品解説についての詳細は、後ほど、記述します。
列品解説のこれからのスケジュールは
10:30~は8/30(木)、18:00~は8/31(金)で、残すところあと1回ずつです。時間は40分程度です。
(6) 料金
大人1,000円、大高生700円、中学生以下無料
※ チラシミュージアムで100円引きのクーポンがあります。また、東京駅界隈の美術館は東京駅など配布されている下図のパンフをもっていくと100円引きになります。出光美術館でも中に入ると出口あたりに置いています。東京ステーションギャラリー、出光、三菱一号館、三井記念(あと今は工事中ですがブリジストン)の美術館が対象で、それぞれの美術館でも配布されています。
今回は、急遽、思いつきで行くことにしたので、準備不足・調査不足でクーポンとかは利用できませんでした。
(7) 混雑状況
展覧会自体は、そこまで混雑はしていないと思いますが、この日は「列品解説」でしたので、これには6・70人くらいはいらっしゃったと思います。私はこういう感覚があまりよくないので、参考程度ですが、2隻8曲の屏風の前に人だかりになるくらいの人は集まっていましたので、結構な人数だったと思います。
(8) 写真撮影
NGです。
(9) ミュージアムショップ
今回は、列品解説を聞いたということもあり、図録を買いました。一冊2,500円です。ミュージアムショップではクレジットカード利用はOKです。ちなみに入場チケットはクレジットカードNGです。
(カタログ表紙です)
(10) 美術館メモ
いわずもがなで、出光コレクションを展示する美術館です。東京と北九州の門司にあります。出光コレクションは古代・中世・近世と日本美術史の中でも重要な位置づけとなる多数の作品を所有されています。国宝・重要文化財となる作品もあり、私は2016年開館50周年記念の「美の祝典」展で国宝・伴大納言絵巻を鑑賞しました。屏風絵・絵巻・浮世絵・陶磁器等々、多数のコレクションを各展示テーマに基づき展示されていて、貴重な作品に出会える美術館さんです。
(11) 行くきっかけ
今回も、もともとは、展覧会があることは知っていましたが、見に行く予定ではありませんでした。たまたま、会社の昼休みによく見る(昼休みだけです、仕事中ではありません^^;と強調するほどのことではありませんが)展覧会情報サイトartspace
artscape.jpを見ていて、ふと、今回の展覧会のリンクをたどると
「本日、列品解説」
というような表示を見ました。見ると18:00から。まだ、会社でもお盆休みの人も多く、そこまで忙しくはなかったので、お盆期間の最後に「列品解説」を聞いてみたい、と思いつきました。夕方、飲みに誘われなかったら行こう!と思っていましたが、見事に誘われず(いつも、誘ってくれる人は、あんまりいませんがT_T)、定時で仕事を上がって、18:00Just美術館到着で、列品解説を聞きながら作品を見ることができました。
II. 展覧会所感
(1) 個人的な所感
今回は、江戸名所図屏風を見るというのに加え、「列品解説」を聴く、というのも展覧会の目的としてきました。展覧会の構成は、まず最初に江戸名所図屏風というメインディッシュがドーンとあり、その後、関連する作品が展示されていくという構成です。
(2) 展覧会の構成と気になる作品
・第1章 江戸名所図の誕生-<横から目線>でとらえた都市の姿
最初、入り口を入って左に江戸名所図が展示されています。今回は「列品解説」を聞いていますので、それに基づく記述をしたいと思います。(私の記憶によるものなので、その点を踏まえ、お読みください^^;)
- 江戸名所図は2隻8曲の変わった様式の屏風です。よくあるのは2隻6曲です。
- 屏風の高さも普通の高さに比べ、低いです。(107.2cm。ふつうは150cmくらい)
- 絵がよく見えるように屏風を立てる展示ではなく完全に開いて壁に掛ける展示にしています。(屏風が磔にされたというご意見もあるような・・・私は、この屏風絵にはこの展示が見やすくて賛成ですが)
- 右から左に流れる絵巻のような構成で上野寛永寺から、浅草、日本橋、江戸城から木挽町(芝居小屋が多かった)を抜け芝の増上寺にかけて約8.8kmくらいの町が描かれています。
- 山手線で言うと上野から田町あたりまでです。
- 上野寛永寺、浅草あたりは桜が満開ですが、増上寺あたりは紅葉もあり、右から左に季節も流れています。
- 描かれた年代は1620年代、1640年代と所説ありますが、屏風絵に浅草の三十三間堂があります。これは今はありませんが、京都をまねて建立されたもので、1640年代前半に建立されていることから、この絵は1640年代または50年代に描かれていると考えられます。
- 絵巻には2,000人の超える人が描かれており、それぞれの人が生き生きと描かれています。このことから、のちの浮世絵の誕生を強く後押しする作品であったのではないかと考えられます。
- この絵の中には猫が1匹います。探してみてください!(ウォーリーを探せのようですね。私は、実物では見つけられませんでしたが、あとから図録を見て見つけました!見つけたら、幸せがあるかも・・・)
この屏風絵に続き、三宅島に島流しになったこともある、伝説の画家 英一蝶の「四季日待図巻」もあります。英一蝶は東京都美術館のボストン美術館展で「涅槃図」が展示され、テレ東「美の巨人たち」でも取り上げられていました。日本国内に作品数が少ないようなので、こちらも貴重な一枚として鑑賞させていただきました。
・第2章 都市景観図の先例-洛中洛外図と花洛の歳時
こちらでは、伝統的な京都の洛中洛外図屏風が展示されています。こちらも、「列品解説」で聞いた内容を基に記述します。
-屏風で一般的な2隻6曲であり、高さも普通の高さ(151cmとのこと)
-京都の洛中洛外図は多種の作品が残されているが、建物の配置など決まっていて、バリエーションは少ない。
- 屏風が高い分、俯瞰的な絵になっている。また人も500人程度しか描かれておらず、動きもあまりない。人というより、建物にスポットが当たっていると考えられる。
- 一方で江戸名所図は屏風が低く人の数も2,000人以上で、人の動きも躍動的で、建物もあるが江戸の人々の活気を描いていると考えられる。
- 洛中洛外図屏風が「ヘリコプター」のような高所から描いた絵とすると江戸名所図は「ドローン」のように、より人に近い、見ようと思えば見ることができるような視点から描かれた作品である。(この説明、うまかったと思います)
このエリアではこの他にも京都を舞台にしたような屏風絵の作品が並びます。
・第3章 <悪所>への近接-遊興空間の演出
このエリアでは江戸風俗画がならび菱川師宣の弟子による絵などが展示されています。吉原の風景や上野の茶屋の様子などが描かれています。やはり横に長い絵で右から左に絵巻同様、ストーリーが流れるような内容になっています。
(ここでも列品解説はありますよ)
・第4章 都市の中の美人
このエリアではいよいよ浮世絵の美人画が展示されます。ここでは肉筆による浮世絵が展示されており、列品解説では葛飾北斎の弟子・蹄斎 北馬(ていさい ほくば)による「蛍狩美人図」を詳細に説明してくれました。
- この絵は平家物語「宇治川の戦い」で源義経軍の武将・佐々木高綱と梶原景季の先陣争いをモチーフに描かれています。
-川は宇治川が隅田川に、佐々木高綱・梶原景季は二人の女性に、先陣争いは蛍狩に置き換えられて、描かれています。
-二人の女性の姿も佐々木高綱・梶原景季の逸話に基づき描かれています。
(佐々木高綱が川の中の縄を切りながら川を進む姿は一方の女性がうちわを振る姿、梶原景季が佐々木高綱に帯のゆるみを指摘され、締め直している姿は一方の女性が川に入る前に帯を締め直す姿に重ねられています。これは、実際の絵を見てみてくださいね)
- 源平合戦の頃の武士の手柄を争う先陣争いに江戸の女性のホタルを追う姿(=淡い恋を追う姿)を重ねて描かれています。
- 裏塗りの技法が使われていて、絹布の裏から色が塗られています。この技法は伊藤若冲で有名ですが、若冲の専売特許ではなく、この時代の画家ではよく利用されていた技法であることが分かります。
この絵自体、魅力的ですが、このように解説されると、この絵の描かれた背景が分かり、ますます引き込まれる感じです。
(3) 最後に
今回は個人的には初めて聞いた「列品解説」の内容もまじえて紹介しましたが、鑑鑑賞し、作品を理解する上でためにもなりましたし、おもしろかったです。これまで、こういう解説などは時間もあわないし、聞くことがなかったのですが、もし、機会があれば、このような話も聞いてみようと思いました。どの展覧会でも、ギャラリートークはありますので、チェックしていきます。(平日開催などでなかなか時間が合わないんですよね)
ちなみに、今回の列品解説に参加して、以下の点は気をつけた方が良いと思います。
・多くの人が集まるので、作品を細かく鑑賞するのは解説を聞いた後か、聞く前に見ておきましょう。
・今回は18:00からの会だったので、解説終了後、時間があまりありませんでしたので、このような場合は事前に鑑賞を見てから解説に参加した方が、ゆっくり作品を鑑賞できます。(私は、会社帰りだったので、早く行けなかったのです、もし、行ける人は早めに行ってみてください)
ということで、まだ、会期もあります。列品解説も2回残されています。ご興味のある方、是非、行ってみてください。
以上です。