こんばんは。お盆ですね。私は早めにお盆休みを取りましたので、今日も仕事ですが、この時期は電車が空いていて、本当に良いですね。あまり待たずに乗れるので、普段より早く会社に着いてます。お盆だから、それほど忙しいわけではないですが・・・
さて、早めにとったお盆休みで行ってきた展覧会を紹介します。(ブログをアップした桂花ラーメンを食べた後に行きました)
[目次]
I.展覧会概要
(1)展覧会名称
「巨匠たちのクレパス画」展 -日本近代から現代までー
パンフレット曰く「塗る、こする、ひっかく・・・・・・・自由に描くことのよろこび。あの頃の記憶。」
何か、ノスタルジックな感傷もあり、この展覧会だからこその良いフレーズです。
開催中の展覧会 | 東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館
(2) 場所
東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館 @ 新宿西口
※ 私は新宿西口のエルプラザビルを抜けた出口から、いつも出ています。出口は階段しかないので、地上に上がるのは少しきついですが。
こちらの美術館さんは、毎年、何回かは行っています。今年はこれで2回目です。前回はターナー展を見に行きました。
(3) 会期
2018/7/14(土)~9/9(日) ※ 月曜日休館
(4) 開館時間
10:00〜18:00
※ ナイトミュージアムはありません。入館は17:30まで。
(5) 訪問時間
2018/8/10(金) 12:20頃 鑑賞時間は70分程度です。
(6) 料金
大人1,000円、大高生700円、65歳以上800円、中学生以下無料
※ 私は、前売を買っていたので800円でした。ちなみにチケットはe-plusで購入したスマチケで、スマートフォンに表示して入場時にチェックしてもらうチケットです。スマチケはスマホを持っていれば、紙のチケットをいちいち持ち歩かなくて良いので、とっても便利で、お薦めです。(紙のチケットをいつも持ち歩くのは結構面倒ですよね。前売りで買うと、思わずチケットを忘れて家を出たりするので、そういう心配もなく重宝しています。スマホを忘れたら、終わりですが・・・)
(7) 混雑状況
金曜日の昼にしては、それなりにお客さんがいたと思いますが、混んでいません。ゆっくり見ることができます。
(8) 写真撮影
NG。入口に記念撮影用エリアはありましたが、中はダメです。展覧会場に入るまでの外の景色は撮影できます。(記念撮影は岡本太郎の「鳥と太陽」です。大阪万博・太陽の塔のお腹の顔を思い浮かべませんか?)
(9) ミュージアムショップ
今回は図録も購入です。なので、絵ハガキは1枚のみです。図録を購入するくらいなので、結構、好きな絵が多かったということです。なお、図録は1冊1,800円、絵ハガキは1枚100円です。ともに税込みです。
クレジットカード利用はOKでした。
(10) 美術館メモ
前回は6月の雨のときでしたが、今回は天気が良く、ビルの窓からの眺望もよかったです。こちらの美術館は必ず最後に有名なゴッホのひまわり、セザンヌの静物画(りんごとナプキン)、ゴーギャンの絵(アリスカンの並木、アルル)と東郷青児、アメリカのグランマ・モーゼスの絵が展示されているので、企画展とあわせて見るのも楽しみの一つです。
(ひまわりは今、テレ東「美の巨人たち」でのテレビCMでも取り上げられていますね)
(11) 行くきっかけ
前回のターナー展を見たとき、次回の展覧会情報として認知はしていたのですが、この時は「どうしようかなぁ。今回は止めとくかぁ」と、心の中でストップがかかっていました。(私は何でも見に行きたくなるので、たまに自制心が起きるときがあります)その後、チラシミュージアムにアップされた情報を見て悩みながらも、まだまだ自制心が勝っていました。さらにメールでチケット販売のお知らせが届き、まだ自制中だったのですが、前売販売締め切り直前、自制心というタガが外れ、買ってしまいました。(大した自制心ではないので)
どうしても、気になっていたんですね。パンフの岡本太郎の絵に惹かれたのか・・・
吉祥寺美術館で江上茂雄展を見たのも大きく影響を受けていますね。クレパス画、今年のマイブーム(言葉が古い)かも・・・
II. 展覧会所感
(1) 個人的な所感
クレパスは「クレヨン」+「パステル」の造語で、両方の良いとこどりをした画材です。サクラクレパス社さんがこれまでに発売した初期の「ほんとのクレパス」から、記念に製造された900色クレパスやご当地クレパス(東京・横浜・鎌倉などのご当地の名物をイメージした色で、包装にコメントが書かれたクレパスが10本程度のセットになっている)などもあわせて展示されています。これはこれで見ていて楽しめます。
さて、巨匠たちのクレパス画ですが、152点展示されています。私の知っている人、知らない人、いろいろな作家がいろいろなスタイルで絵を描いています。
(展示されている作家たちです)
これらの作品を見ての個人的な感想は、
「クレパスという画材は、本当に素晴らしい可能性を秘めた画材だ」
ということです。子供のときに、ぜったい使っているのに、その時は、そんなことは、思いもしませんでした。(凡人ですから)
でも、今回展示の画家たちの手にかかると油絵以上に色鮮やかで濃密な画面を作り出されます。また、展示の解説の中で、多くの作家が「子どもが使うと思われているパステルを職業的専門家(=画家)が積極的に活用すべきである」(というような趣旨)のことを述べていて、これから注目したい分野だと思っています。(でも、なかなか、取り上げられないでしょうねぇ。ちなみに今回の展示は大阪のサクラクレパスさんのサクラアートミュージアムの所蔵のようです。ここはいつか行ってみたいと思います!)
(2) 展覧会の構成と気になる作品
展示の最初の方から、私の印象に残った作品を羅列していきます。(ただの私が「好き」と思うものだけ取り上げます)
(パンフレット表)
(パンフレット裏)
・山本 鼎(かなえ):「西瓜」「江の浦風景」
大正時代に子どもに自由に描かせる自由画教育運動を推進し、子どもたちが自由に絵を描ける画材として開発されたのがクレパスのようです。クレパスで絵を描くことについての書籍もあり、江上茂雄展でも展示がありました。クレパス画を語るうえでは外せない作家さんのようです。絵は写実的で色鮮やかで、江の浦風景などは海や空の色が鮮やかです。(江の浦風景はパンフレット表の上段中央です)
※ 図録の解説では「自由画教育運動の功罪」ということで、この運動への批判的立場での論述もあります。ご参考まで。
・熊谷 守一:裸婦
こちらは、今年、東京国立近代でも展覧会がありましたね。私などは一見、ただの線描のように思ってしまうのですが、裸婦の輪郭などは鋭い観察眼の賜物で、この絵は少し傾いた感じの構図も面白いと思いました。(ネタバレで言えば、こういうことも、「美の巨人たち」を見たから、思ったところではありますが。なお、東京国立近代の展覧会は行きませんでした)絵はパンフレット表の左上です。
・寺内 萬治郎:「緑衣の婦人像」「裸婦」
パンフレット裏の左上が「緑衣の婦人像」です。「裸婦」の方もそうですが、私はこの人の絵は、とても魅力的に思っていて、好きです。女性の物憂げな感じと、目の力強さと、なんとも言えない魅力を感じます。6/10に行った中村屋サロン美術館、野間記念館でも絵を見ました。個人的にはこの作家の絵をじっくり見るのは今年が初めてだと思いますが、今年の私の中のヒット(=発見)だと思ってます。本格的な油絵に引けをとらない作品の仕上がりです。
・中村 研一:「婦人像」
私は、写実的な絵や印象派的な絵が好きなほうだと思いますが、こちらはそうではありません。フォーブのような力強さがあります。肌の上に直接白いクレパスで服を着せているように描かれていて、その色の重なりが女性の存在そのものを際立たせていると感じました。個人的に好きなタイプの絵ではないかもしれませんが、すごく気になる絵でした。
・小磯 良平:「静物とモデル」「婦人像」
私は結構好きな画家で、特に「婦人像」の印象派のような優しい雰囲気が好きです。図録の表紙を飾っています。パンフレット表の右上です。
・伊藤 悌三:「老人」「婦人像」
「老人」の絵は、レンブラントを思わせるような絵で「これもクレパス画かぁ」と思わせる重厚感です。老人が咥えるタバコの火が全体の濃い茶色をベースとした画面の中で一点の赤い光として、目をひかれます。それが、この絵の重厚さをさらに引き立たせている感じがします。
・田伏 勉:「イギリスの庭園」「川辺」
こちらは風景画で、水面、水面に写る木々などの風景と、鮮やかに描かれています。写実的な風景画です。
・山本 文彦:「静」
1994年と比較的最近の作品です。(でも25年近くたちますが、私の入社の頃か・・・)右下方向に少しうつむいた女性の顔(肩から上ぐらいを描いた)絵ですが、髪から背景色へのつながり、緑の色づかいが幻想的で、女性の表情も静かながら、何か思いを秘めているようで、幻想的でもあり、透明感もあり、いろいろなものを踏まえて「静」というタイトルなのだと思わせる絵です。今回の展覧会ではかなり好きな絵でした。
・坂口 紀良:「窓辺の読書」
今回、1枚買った絵ハガキはこの絵です。2005年の作品です。
寺内萬治郎も緑の服の女性で、先述の通り、この絵も好きなのですが、坂口紀良さんの絵は明るい感じがして、もし、家に飾るなら、こちらの絵だなと思い、絵ハガキを買いました。クレパスがもつ明るさが絵のテーマと女性の雰囲気とあわせて、とても好感の持てる画面を作り出していると思います。
(3) 最後に
このほかにも、梅原龍三郎、岡本太郎(こちらは最初に触れたので、あえて詳細は書きませんでしたが、クレパスでも岡本太郎の勢いはすごい。パンフレット表の下段中央とパンフレット裏の下段中央)、加山又造(パンフレット裏の上段中央)、山下清(パンフレット表の右下。もう一つの花の絵は素朴な線画で心に残ります)、彫刻の船越桂(パンフレット裏の左下)などなど、いろいろな絵があります。それだけ多くの画家に愛され、また、多くの表現ができるクレパス。ぜひ、クレパス画の魅力を発見しに展覧会に足を運んでもらえればと思います。きっと、好きな絵が見つかると思います。
ということで、以上です。
※ なお、余談ですが、次の展覧会は9/22-12/24のカール・ラーションですが、損保ジャパン日本興亜美術館さんは10/1(月)が無料観覧日です。通常の月曜は休館ですが、この日は開館しているようです。情報まで。では。