まだまだ、暑いですね。猛暑日が当たり前のような感じですね。
昨日から高校野球、夏の甲子園100回記念大会ですが、暑さに気をつけ、球児たちには頑張ってもらいたいものです。
そんな暑い中、涼むにはぴったりの展覧会に行ってきました。少し時間は経ちましたが、まだまだ会期はありますので、報告です。
[目次]
I.展覧会概要
(1)展覧会名称
「水を描くー広重の雨、玉堂の清流、土牛のうずしお」展
(2) 場所
日本画の専門美術館 山種美術館(Yamatane Museum of Art)
※ いつもは、恵比寿駅から歩くのですが、今回は車で用事があって美術館前のパーキングエリア(1時間まで)に停めました。なので鑑賞時間も50分程度でした。お勧めではないですが、参考まで)
(3) 会期
2018/7/14(土)~9/6(水) ※ 月曜日休館
(4) 開館時間
10:00〜17:00。
(5) 訪問時間
7/22(日) 15:00頃 鑑賞時間は50分程度です。十分鑑賞できます。
(6) 料金
大人1,000円、大高生800円、中学生以下無料
※ 私は、前回展覧会時、前売を買っていたので800円でした。なお、次回企画展の前売(9/15から「日本画の挑戦者たちー大観・春草・古径・御舟ー」)も買っちゃいました。
(7) 混雑状況
混んではいません。ゆっくり見られます。
(8) 写真撮影
川端龍子「鳴門」だけ、撮影可能です。
(向かって右)
(向かって左)
(9) ミュージアムショップ
今回も、絵ハガキ購入です。購入した絵ハガキは、あとで少し紹介します。
絵ハガキは普通サイズのもので一枚108円(税込み)です。
クレジットカードは3,000円以上から利用可能とのことです。
(10) 美術館メモ
入口のある1Fは喫茶室及び映像を見るコーナーがあり、B1Fに展示室(第一、第二)とミュージアムショップがあります。なお、音声案内機も有料で貸し出しています。(私は借りていないですが、確か500円だったと思います)
今回も1Fの喫茶室では展示中の絵をモチーフにしたスイーツが提供されています。
(11) 行くきっかけ
前回「琳派 俵屋宗達から田中一光へ」を見に行った際に、次回展覧会のポスターをみて、前売券を購入したのがきっかけです。暑い中、涼しげな日本画の「水」を見て、涼をえようと思ったというのもあります。
(夏の美術館は静かでクーラーも効いていて、落ち着きがあり、とても居心地が良いです。レストランでコーヒーなどを飲むのも良いかと。一度、お試しあれ)
ちなみに前回紹介したチラシミュージアム(チケットのイープラスのiPhoneアプリ)は山種美術館の展覧会は紹介されていません。(なぜかは不明です。基本的にカードが使えないから紹介されないのか、美術館が掲載を敬遠しているのか・・・ただの邪推です)
II. 展覧会所感
(1) 個人的な所感
山種美術館さん自身の収蔵品をテーマに沿って展示するという、いつもの内容で、水に沿った日本画が展示されていましたが、暑さも手伝ってか、本当に、ひと時の涼をえるのに最適で、さわやかな気持ちになる展覧会でした。
(2) 展覧会の構成と気になる作品
・第一章 波と水面のイメージ
展覧会場に入り、最初の構成が波と水面のイメージです。まず、目に入ってくるのは非東山魁夷「緑潤う」です。そして、そこから振り返ると宮廻正明氏(みやさこまさあき)の「水花火(螺)」です。緻密に描かれた網がまるで水の上に開いた花火のように広がり、印象的な構図となっています。水の青と網の白が対比が美しい絵であります。
続いては、竹内栖鳳の「緑地」です。
こちらは、大きくない絵ですが、緑の水に、蛙が浮かんでいる感じが、とても大胆な構成で描かれています。蛙を描いているだけともいえるのですが、画面そのものが池となり、その中で蛙が漂っている感じが出ていて、「さすが」としか言えない絵ですね。涼やかで、無駄なものは一切かかれていない、それでいて池のほとりにいるように感じさせ、この展覧会の中でも1、2を争う好きな絵です。
そして、奥村土牛の「鳴門」
こちらも、うごめく鳴門のうず潮のみを描いていますが、みずの動き、うず潮のうねり、海面の複雑な動きが白い波と緑の水とで、大胆かつ繊細に描かれています。私も鳴門のうず潮をもう20年近く前に、実際に見たことがありますが、なんで、こんなにもここにはうず潮ができるのだろうと、その迫力に驚いた記憶があります。そのときの水のうねりが思い起こされるように感じます。
このほかには、先ほどの写真の川端龍子「鳴門」、秋の紅葉と渓谷の圧倒的な景色が屏風画として大画面に描き出されている奥田元宋「奥入瀬」などが迫力があります。
また、小野竹喬「沖の光」は、ほのぼのとした色遣いで好きですが、画家が88歳の時に描かれた作品で、88歳で描かれたとは思えないような、色の鮮やかさと、絵から感じる純朴さが印象的な作品でした。
・第二章 滝のダイナミズム
この章では滝をメインとした絵画が展示されていますが、ここで目を惹くのは千住博「ウォーターフォール」です。黒い大画面に白い絵の具で滝壺に落ちる水と跳ねるしぶきが描かれて、大胆な構図でありながら、私は迫力というより、静かさを感じました。前出のパンフレットの上部が該当します。
確か、黒い画面から白い絵の具を垂らして、水の動きにまかせて滝を描いたといわれていたと思います。(テレビで言っていたような。違っていたら、ごめんなさい)そんな、実験的な描き方をしながら、滝の像をとらえようとしているところが、おもしろいと思いつつ、鑑賞してきました。(今回の展覧会で見たかった絵の一つです)
・第三章 雨の情景
最後の水は「雨」ここでは歌川広重の東海道五拾三次之内から雨の絵で有名な「庄野・白雨」、雪で有名な「蒲原・夜之雪」などが展示されています。このほか玉堂、栖鳳、土牛の絵が展示されていて、土牛の「雨趣」は昔の六本木の雨模様を描いているところが面白いと思いましたし、奥田元宋の「山潤雨趣」が雨の山の中の一筋の白い滝が印象的な絵でした。
美術展は波・水面、滝、雨の三部構成です。
(3) 最後に
歌川広重の浮世絵から竹内栖鳳、奥村土牛、横山大観などの日本画の巨匠たち、そして加山又造、千住博のような現代に通じる画家と、同じ日本画、同じ水を取り扱った絵でも、時代・画題とも、幅広く絵を鑑賞することができたと思います。
何べんも言っちゃいますが、暑い夏、涼しい美術館で、涼しげな日本画を楽しむのも、結構、乙なものです。ぜひ、お試しあれ。
以上です。